【wrwrd!】総統の女

ツインテールの日 ページ17

昼休み後の社内の光景が怖い。
正確に言えば、Aの代の奴等が怖い。
２月に入ってそわそわし始めたと思った途端に、女性社員で揃って同じ髪型をキメている。

「グルちゃん、今日はもう上がらせて頂きますね」

定刻、きっちり書類を出すAもツインテール。
揺れるものを追いかける本能ゆえか引き付けられる視線と白い首元に巻かれた赤いチョーカーに自然と笑みが漏れた。

「了解した、ソレ、付けてくれるのは嬉しいな」
「一応グルちゃんのお願いだしね、あとこの手はいつもながらに卑怯、隠すしかないじゃないですか」
「何のことだろうなぁ？」

受け取った書類の正誤確認だけ軽くしている間に、疑問でも解消しておくか？流石に眼前の異様としか捉えられないこの景色は落ち着かない。
敬語とタメ口の入り交じる相変わらずのAにこの髪型の指定はなんだ、と問えば、ふんわりと笑むのだ。

「今日はツインテールの日、何ですって。
そんな訳で私達の代だけでの呑み会です、グルちゃんはこれないの確定なので付けてきた所でもあります」

言葉と共にチョーカーに指を這わせる姿が愛おしい。
仕事のついでだ、それに俺は公式に彼氏なんなぞ、何も躊躇う事は無い。

「書類抜け発見、確かミーティングルームに置いてある、取りに行くぞ」
「わ、ほんとですか」
「気が緩みすぎだゾ〜、反省して、どうぞ」

ミーティングルームはこの時間になると人気が少ない。件の書類はここにある。
書類は特に重要なものではなく、俺の裁量で入れたいだけであり俺が付け足せば済むもの、だが、これを利用しない意味は無い。

何も疑わずに付いてきたAを薄暗いミーティングルームの壁に押し付けた。
へ、と漏れる吐息と大きくなる瞳、その裏に覗く期待に口端が吊り上がるのを感じる。

「そんな顔しなくてもくれてやる」
「そんな顔って、んん...ん、は、してないです！」

毅然と赤くなった顔を向けるAも俺からすれば小柄で、庇護の対象で、漸くして得た愛する人。

「ツインテール似合っている、閉じ込めたいくらいだ。

はやく彼らの元へ行くといい、退社許可だ」

チョーカーにも1つ口付けを落して告げると、今度覚えててください！と怒ってるんだか照れてるんだかという声でAは走り去っていった。


危ない、こんな所で盛る所だった。
目の裏に浮かぶのは、楽しげに揺れるツインテールだった。

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強気(欲に忠実)なグルッペン氏でした。
楓さんリクエストありがとうございました!

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