【wrwrd!】総統の女 (ページ12)

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夜の街ページ12

コネシマがどうしても、と言うのでキャバに付き合ってやった。
事前に何を話してもいいと聞いていたので、それとなく女が好むものについて聞くと、形あるもの、との答えが返ってきた。
形あるもの、ね。

「やっぱり、おにーさんみたいな人になるとね？彼女さんも不安になるとおもうんだー、だから、しばりつけとけ？みたいなかんじ！

おにーさん、その人と上手くやりなよぉ」

くすりとやけに妖艶に笑う女はグラスを傾けた。

「別に女がいるとは言っていないが」
「私たちレベルになるとわかるの、おにーさんがベタ惚れパターンだと読んだぞぉ。

おにーさんみたいなひとはね、あたしレベルの直感力の強い女がこーいう店でつくのよ」
「君レベルとは？
私が何かほかの店員を近づかせない何かをもっているのか？」
「もってるのよ、まずその強面。あと雰囲気が知的だからほかの子はよりつけないわ？

また来てよ、ついでに進展あったら教えてや」

ちらりと見上げられた時計に視線を注ぐと、ほう、予定時刻丁度だ。この女、なかなかに手馴れている。何となく察してはいたが、できるタイプのようだ。
礼を一つ投げて店を出る。
またどうぞ〜とえむ女がナンバーワンだと知ったのは後日だ。

会計はコネシマが払うと言っていた。気に食わなかったからわりと酒を頼んでやったがあいつはあいつで幸せなのだろう。あの雰囲気から、言動から見て取れるように、一人あの店に惚れ込んでいる奴がいる事を察した。

まぁ、どうせ相手方にもバレているし、いつも通り貢いで金を巻き散らかして終わるのだろうが。それでも大先生よりはましなので、一体大先生はどんな金遣いをしているのか。

店内の蒸し暑さに負けたように開けた第二ボタンまでの空間が、外の涼しい風を取り込んで、酔いを薄れさせていく。

くだらねぇ思考も消えねぇかな、と周りをくるりと見渡して、

街角で、今一番会いたくないやつを見かけた。

「ゾムさん、今日はありがと」
「いや、俺がしたかった事でもあるしな。

それよりここ、跡ついちゃった」

つ、と彼女の細い鎖骨を撫でるのは、ゾム。

「気にしないでください、しょうがないです」

困ったように微笑むのは、Aだ。