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平手打ち【良妻論】〔リク〕 ページ4

「辻村さんも意地が悪いですね」


私がそう言うと、その女性は笑った。
異能特務課の影の支配者である彼女、辻村深月は私の元上司。

でも、今は違う。


「あの少年暗殺者を逃がすのは、特務課にとってはかなりの痛手なのよ?」

「ええ。ですから、諭吉さんの我が儘に付き合っていただいた御詫びに、菓子折りを・・・」

「ふふ。そうだったわ。ありがとう」



私はため息を吐き、その図書館から出た。
・・・家に帰らない彼女を、少し、恨んでしまう。

娘さんが寂しがっているでしょうに。


でも、人様の家の事情に首を突っ込むものじゃないわ。





そう思いながら、私は夕飯の食材を買いに、商店街に寄った。



その帰り。
あらやだ。
少し重い、買い物鞄を持ちながら歩いている私をつけている、もの好きが。


・・・撒けるかしら?
・・・無理ね。相手は手練れだわ。

異能力者だったら、民間人が巻き込まれてしまうし・・・。

・・・どうしましょう・・・。




とりあえず、私は路地裏に入った。
そして護身用の小刀を懐から出して、構えた。

・・・着物は、少し動き辛いわ。



向かってきた一人の男の片足の腱を素早く切った。

これで大丈夫かしら・・・。
そう安心した。・・・返り血は少し、浴びたけど。



「死ね!」

「!」


もう一人、男がいた。
彼は私に襲いかかってきた。
私は、一瞬、目を閉じて閉まった。



「・・・?・・・・・・・ゆ、諭吉さん・・・」


諭吉さんが、その男を投げ飛ばし、気絶させていた。


「・・・殺してはないようだが・・・」

「?・・・っ!」


パチン、と音がした。
手加減はしてくれたみたい。

でも、痛いわ。


「何故助けを呼ばなかった!?大莫迦者!!」


嗚呼、この人は、私を心配して怒っているのね。
・・・優しい人。


諭吉さんは私の手を握って、哀しそうな顔をした。



「・・・護身用の小刀を捨てろとは言わん。
・・・だが、もうこの手を血で穢すな」

「・・・ごめんなさい・・・」












その日の夜は、随分と、酷く抱かれたものだわ・・・。




























乱歩と社長が出会って、間もない頃の話でした。
リクエスト、ありがとうございました!

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うり太郎(プロフ) - ア゛ア゛ア゛ア゛ア゛このシリーズ大好きですっ!!!もし宜しければ乱歩さんのとか作って欲しいです┥'-') (2021年9月23日 2時) (レス) @page5 id: ccbe99882f (このIDを非表示/違反報告)
歴女ヲタク(プロフ) - 七海さん» いえいえ!こちらもリクエストをありがとうございました! (2017年2月15日 16時) (レス) id: 36afed3239 (このIDを非表示/違反報告)
七海 - 書いて下さりありがとうございました!!まさに私好みドンピシャでした!バレンタインのお話も全部良かったです!作者様、ありがとうございました! (2017年2月15日 16時) (レス) id: 0025083cac (このIDを非表示/違反報告)
歴女ヲタク(プロフ) - 七海さん» リクエスト、ありがとうございます! 時間がかかると思いますので、お待ち下さい。 (2017年2月13日 19時) (レス) id: 36afed3239 (このIDを非表示/違反報告)
七海 - リクエスト、よろしいでしょうか? 夫婦論であの世で夫婦が再会したら、のようなのが見てみたいです! ○○論シリーズ、いつも拝見させて頂いてます。更新頑張ってください!応援しています!! (2017年2月13日 18時) (レス) id: 0025083cac (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:歴女ヲタク | 作成日時:2017年1月7日 21時

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