幻想譚〜それぞれの物語〜

大魔王の勧誘 ページ17

?「……余の部下にならんか……？…人間は最低だぞ妹紅。おまえほどの者が力を貸してやる価値などない連中だ」
妹紅「…なんで私に声をかけた?」
?「お前は不死なる蓬莱人。人間共には溶け込みづらかろう。人間は異端を嫌う。今までも迫害されてきたのではないか？」
妹紅「まあそりゃあな。長く生きてると人間だけじゃなく妖物にも嫌われるし」
?「ならばそんな奴らを助けることはない。お前は強い。他の人間に限らず妖怪より、或いは魔王より強いかもしれん。」
妹紅「ふん…あんたの部下が私を敵に回すだろうけど？」
?「余が選んだのだ。文句は言わせぬ。」
妹紅「そりゃ大したもんだ。でもな、種族単位で嫌う奴はどこにでもいる。そいつらが私を人間だからと襲うだろうよ。人間にも妖怪にも差別されて当然なんだ」
?「……だが余は違う！余はいかなる種族であろうとも強い奴は差別はせん！それに…」
?「不死といってもそんな些末な事は気にしない者もいるのだ。お前の近くにも、な」
妹紅「…」
?「心当たり、いるようだな」
妹紅「ああ…不死の私が怪我したりすると悲しいって奴らがね。全くお節介な奴らでさ…」
?「顔が笑ってるぞ。口ではそう言ってもその者達を信頼しているようだな」
妹紅「言わないでくれよ気恥ずかしい」
?「成る程、お前は引き抜けなそうだ。その者達、大事にせよ」
妹紅「当然！それにさ、この身体は盾としても使えるしな、まあそうするとあいつら怒るけど」
?「はっはっは、仲のよいことだ。羨ましいことだ」
妹紅「大魔王が言うかねそれ」
?「余は友達がおらん」
妹紅「…」
?「帝王に友など不要…」
妹紅「のわりには表情がな(笑)」
?「笑わんでくれ」
妹紅「あはははは」
?「…」

?「さて、そろそろ時間だ。行くがよい」
妹紅「ああ…じゃあな、大魔王」

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