今はまだ… 22 ページ45
左馬刻「って所が優天と出会った昔話だ。そっから何だかんだで、今に至る」
独歩「何というか、優天らしい…」
左馬刻「ただのお人好し馬鹿なだけだろ、けどそのおかげで今の俺がいるんだがな。あん時から優天は俺の兄貴のように接してくれてよ、霧呀は俺を兄のように慕ってくれた。おばさんやおじさん達だって俺を実の息子のように可愛がってくれた。間違った事をすれば叱り…良い事をすれば褒めてくれ…だから俺は少しでも返してんだよ」
独歩「これから少しずっ返して行けばいいじゃないですか、優天もきっと喜ぶんじゃないかな」
左馬刻「は?少しずっ?」
独歩「う、うん」
左馬刻「…昔話はこれで終いだ、テメェに聞きたい事がある」
独歩「は、はい…なんでしょ?」
左馬刻「あいつから病名とか聞いたのか?」
独歩「たしか…筋萎縮性側索硬化症…でしたよね?」
左馬刻「症状は?」
独歩「手指に力が無くなって物を落としやすくなったり…しまいには筋肉が痩せていき、今は普通に話をしてるけど話しにくくなる…とは聞きました」
左馬刻「筋肉が痩せていくって事は、次第にどの筋肉も痩せていき…衰える、そしたら食事だってままならねぇし…下手したら呼吸が出来なくなって、呼吸困難で死ぬ」
独歩「は?…そんな事言って…」
左馬刻「言わなかったか、言えなかった…それか…いや、あいつ…優天の性格からして後者だな」
独歩「…」
左馬刻「後一つ。これは聞きたい事じゃねぇ」
独歩「…？」
左馬刻「もし…もしあいつと言い合いになったとしても…お前だけはそばに居てやってくれ」
独歩「…」
左馬刻「今のあいつを一人にするのは危ういんだよ、あいつの所に戻っても良いんだがしばらく暇な時間がねぇからな。今だって本来なら横浜に戻んなきゃいけねんだが…どうしてもテメェと話をしときたかったんだよ」
独歩「…俺と?」
彼は煙草の火を灰皿で消して、何も言わず立ち上がって、ドアの方に向かっていった。
…何も言うことがないって事か?それとも無視か?
そんな事を頭をの中で考えていると
左馬刻「…優天を見てるとお前を気に掛けてるみたいだしな。だからあえて詳しい事言わなかったんじゃねぇのか?」
独歩「…」
左馬刻「ま、後は自分であいつから聞くんだな」
独歩「…はい」
左馬刻「支払いは俺様がしといてやる。じゃあな」
彼はそう言うと、もう振り返りもせずに行ってしまった
独歩「…」
意外と長く話をしたな、優天の所に早く戻るか。
戻る前に飲み物とお菓子を買ってから戻った
今はまだ… 23→←今はまだ… 21 優天×左馬刻 過去編（左馬刻Side）
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作者名：タータンボウ | 作成日時：2019年2月6日 20時
