mission 07 ページ9
｢ふぅ〜ん……つまり、自分のことだけがすっぽり抜けちまったんだ？｣
あの後、部屋で色々と考えていたのだが。
どうやら、自分自身に関する記憶だけが、どういうわけか綺麗さっぱり記憶から抜け落ちてしまっているようだった。
その証拠に、言葉は話せるし、ある程度の知識もある。
｢……すみません｣
｢い、いや！謝んなって！お前のせいじゃあねーし……｣
オロオロとしていたナランチャは、そうだ！という風にノートを広げて見せた。
｢これ、アイツらが帰ってくるまでに終わらせないとダメなんだ。でもオレ馬鹿だからよぉ〜、頼む、教えてくれよぉ｣
このとーり！と、ナランチャは顔の前で手を合わせた。
……彼なりに気を使ってくれたんだろうか。
こんな状態の私でも、誰かの役に立てることが、純粋に嬉しかった。
｢……分かりました。ちゃちゃっと、終わらせちゃいましょう！｣
＊
｢よォ〜、戻ったぜ〜｣
しばらくして。
玄関から間延びした声が響く。
紙袋を抱えた4人が、ぞろぞろと部屋に入ってきた。
｢あァ？お前ら、2人して何やってんだ？｣
確かミスタ、と呼ばれていた彼が、机で何かをしている私たちを見て不思議そうに首を傾げる。
｢ナランチャ！問題は解けたんでしょうね｣
ツカツカと歩み寄ってくる少年＿＿おそらく彼が、ナランチャの言っていたフーゴだろう＿＿に、ナランチャはニヤリと笑ってノートを見せびらかした。
｢んなッ……！｣
｢へへ〜ん？どうよぉフーゴくん？｣
当たってる？と自信満々に言うナランチャに、フーゴはノートを持ったまま青ざめている。
｢全問正解、だと……ッ！？｣
｢よっしゃあ！｣
クルリとこちらを振り返ると、シシシ、と笑ってみせた。
思わず私も笑みを返す。
｢どうしたんですかナランチャ、一体こんな……｣
｢コイツに教えてもらったんだ。な！｣
｢なんですって……？｣
｢お、教えただなんて、そんな｣
ありがとよォ〜！といきなり肩を組まれたことに驚きつつ、喜んでくれたなら良かった、と思う。
｢私は少しアドバイスしただけで……ナランチャくん、ほとんど自力で頑張ってたじゃあないですか｣
｢ま、そーいうコトよ！｣
フーゴは私とナランチャを何度か交互に見た後、はあ、とため息をついた。
｢……まあいいでしょう。2人共、テーブルを片付けてください。少し遅くなりましたが、昼食にしましょう｣
そう言って、買ってきたパンやら野菜やらを袋から取り出し始めた。
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あや(プロフ) - こんばんは、とてもおもしろく、キャラクターの特徴をつかんでおり更新楽しみです！よろしくお願いいたします(^-^) (2020年3月1日 2時) (
レス) id: 8f153ba0bd (このIDを非表示/違反報告)
白庵(プロフ) - あかさん» コメント嬉しいです〜ありがとうございます！更新頑張ります！(＾ω＾)b (2019年3月6日 10時) (レス) id: 0f99d84b60 (このIDを非表示/違反報告)
あか - 面白いです（＾ω＾）続き楽しみです！！ (2019年3月6日 4時) (レス) id: 708663298a (このIDを非表示/違反報告)
白庵(プロフ) - ライリーさん» ありがとうございます！！引き続き読んでいただけたら嬉しいです！ (2019年2月16日 14時) (レス) id: 0f99d84b60 (このIDを非表示/違反報告)
ライリー - すごく面白くて続きが気になっちゃいます！頑張ってください！ (2019年2月15日 22時) (レス) id: 3931cd0f9d (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：白庵 | 作成日時：2019年2月11日 18時
