mission 02 ページ4
＿＿＿そして、今に至る。
｢大丈夫そうだな｣
大きな腹の虫をかました私に、彼は少し笑ってそう言った。
は、恥ずかしい……！
｢あ、あの｣
｢とりあえず下に降りるぞ。話はそれからだ｣
私のセリフを遮ると、彼は着いて来いという風に手招きをした。
｢あっ、待ってくださ……い゛っ！？｣
慌ててベッドから立ち上がると、突然足に痛みを感じて思わずよろめいた。
間一髪のところで彼の腕に支えられ、転倒は免れたが。
｢大丈夫か？｣
｢い、いえ、大丈夫です……すみません｣
どぎまぎしてしまった私は、咄嗟に目を逸らす。
だが、そんな私の内心を知ってか知らずか、彼はそのまま私を抱きかかえた。
｢きゃっ……！？ちょっ、｣
｢おい暴れるな、危ないだろう｣
｢お、降ろしてください！｣
｢階段で転んで大怪我するよりはマシだ｣
いいから大人しくしていろ、と。
必死の抵抗も虚しく、私を軽々と持ち上げた彼はそのまま部屋を出ていった。
＊
｢よし、立てるか？｣
｢……はい。ありがとうございます｣
階段の下で、ようやく解放された私はすぐさま彼と距離を取った。
……この人、割と強引なんだ。
いきなり知らない、しかも男の人にあんなに密着されたとあっては、さすがに緊張する。
自分の耐性のなさに、ほとほと呆れていた。
そんな私をよそに、彼はこっちだ、と言って一際大きな扉を開けた。
扉の向こうに消えた彼に続こうと、恐る恐る扉の影から部屋の様子を伺う。
｢おーブチャラティ、どうだった？｣
＿＿＿？
｢問題ない。意識が戻ったから連れてきた。……ほら、入れ｣
“ブチャラティ”という名前に、どこか引っかかりを覚える。
視線が、ブチャラティと呼ばれた彼から私へと集まる。
思わず部屋に踏み入れた足が止まる。
室内には、彼の他に5人の男がいた。
｢おっ！元気そうじゃあねえか｣
｢どうぞ、座ってください｣
言われるがまま、私は案内された椅子に腰掛けた。
すると、目の前のテーブルに美味しそうなスパゲティが置かれた。
思わず顔を上げる。
｢あの、これ……？｣
｢腹が減っているんだろう？何、遠慮するな｣
そう言うと、ブチャラティは再びキッチンへと戻っていった。
そういえば、ひどくお腹がすいている気がする。
ごくり、と唾を飲み込む。
本当にいいんだろうか。
様々な思考が頭を埋め尽くすが、漂う湯気と食欲をそそる匂いに逆らうことはできなかった。
｢いただきます……！｣
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 140人がお気に入り
お気に入り作者に追加
この作品を見ている人にオススメ
この作品を見ている人にオススメ
「ジョジョの奇妙な冒険」関連の作品
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
あや(プロフ) - こんばんは、とてもおもしろく、キャラクターの特徴をつかんでおり更新楽しみです！よろしくお願いいたします(^-^) (2020年3月1日 2時) (
レス) id: 8f153ba0bd (このIDを非表示/違反報告)
白庵(プロフ) - あかさん» コメント嬉しいです〜ありがとうございます！更新頑張ります！(＾ω＾)b (2019年3月6日 10時) (レス) id: 0f99d84b60 (このIDを非表示/違反報告)
あか - 面白いです（＾ω＾）続き楽しみです！！ (2019年3月6日 4時) (レス) id: 708663298a (このIDを非表示/違反報告)
白庵(プロフ) - ライリーさん» ありがとうございます！！引き続き読んでいただけたら嬉しいです！ (2019年2月16日 14時) (レス) id: 0f99d84b60 (このIDを非表示/違反報告)
ライリー - すごく面白くて続きが気になっちゃいます！頑張ってください！ (2019年2月15日 22時) (レス) id: 3931cd0f9d (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：白庵 | 作成日時：2019年2月11日 18時
