mission 17 ページ19
｢…………｣
殴らないで、と。
確かに彼女はそう言った。
無論、俺は殴ってなどいない。
怯えた表情で手を振り払ったのを最後に、彼女はぷつりと電源が切れたかのように動かなくなった。
｢おい、起きろ｣
反応はない。
微かに吐息だけが聞こえる。
仕方なく、俺は無理やり彼女の口に、持ってきた水を流し込んだ。
生憎、酔っ払いの介抱は慣れている。
トイレの水を流し、先程よりも幾らか慎重に身体を抱き上げた。
……変な女だと思った。
いきなり俺達の前に現れて、記憶がねえなどと抜かしやがる。
ブチャラティの判断だから口は出さなかったものの、俺自身、こんないかにも怪しい奴を俺らのアジトに置いておくのは反対だった。
だが、決まっちまったもんは仕方ねェ。
極力関わらないよう俺は、話しかけるなオーラ全開でいた。
実際コイツはそれを察してか、他の奴らみたいに寄っては来なかった。
……なのに、俺は何をやってるんだ。
ガチャ、と部屋の扉を開け、ベッドに彼女を横たわらせる。
昼間は笑ったり慌てたり忙しい奴だと思ったが、今は死んだように眠っている。
ひとり記憶をなくし、こんなところへ来て、見知らぬ男達に囲まれ、それでも明るく振る舞うコイツが一体何を考えているのか、俺には理解できなかった。
無意識に彼女の寝顔を眺めていたアバッキオだったが、あまり長居しても仕方がない。
リビングに戻ろうと立ち上がり、踵を返す。
その時、くん、と何かが引っかかったような気がして、何気なく振り向いた。
＿＿＿服の裾が、Aの手によって小さく握られている。
すぅ、すぅ……と規則正しく寝息を立てる彼女の瞳から、一筋の涙が零れる。
その表情は、ただのひとりの少女のものだった。
｢……チッ、｣
俺は、今までの行動を少しだけ悔いた。
普段ナランチャたちを見慣れちまってるから忘れていたが、コイツもアイツらとそう歳は変わらねェだろう。
普通なら、学校に行ったり、友達と遊んだりしている年頃だ。
まだ、子供と言っても差し支えないだろう。
……そんなガキが、
｢……クソッ｣
不安じゃないわけ、なかった。
俺だって、いきなり目が覚めたら何もかも忘れちまってたらヤベェと思う。
少なくとも、あんなあからさまに不機嫌な態度を取るべきではなかったと、俺にしては珍しく反省した。
涙を指で拭ってやると、小さく声を漏らして擦り寄ってくる。
その姿が、小さい頃の妹と重なって、俺は思わず頬が緩んだ。
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あや(プロフ) - こんばんは、とてもおもしろく、キャラクターの特徴をつかんでおり更新楽しみです！よろしくお願いいたします(^-^) (2020年3月1日 2時) (
レス) id: 8f153ba0bd (このIDを非表示/違反報告)
白庵(プロフ) - あかさん» コメント嬉しいです〜ありがとうございます！更新頑張ります！(＾ω＾)b (2019年3月6日 10時) (レス) id: 0f99d84b60 (このIDを非表示/違反報告)
あか - 面白いです（＾ω＾）続き楽しみです！！ (2019年3月6日 4時) (レス) id: 708663298a (このIDを非表示/違反報告)
白庵(プロフ) - ライリーさん» ありがとうございます！！引き続き読んでいただけたら嬉しいです！ (2019年2月16日 14時) (レス) id: 0f99d84b60 (このIDを非表示/違反報告)
ライリー - すごく面白くて続きが気になっちゃいます！頑張ってください！ (2019年2月15日 22時) (レス) id: 3931cd0f9d (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：白庵 | 作成日時：2019年2月11日 18時
