アネモア【神威】 (ページ36)

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「だっ、誰だテメェ！！？」

男は勢いよく振り返り床板に乗せる足を下ろした

「お前が誰だよ」

神威は険しい顔をしながらジリジリと男に詰め寄り、

そんな顔の神威を見た事のないAまでが背筋が凍りそうになった

「Aのどこ触った？」

「なっ、何言ってんだコイツ…！邪魔すんじゃねぇよ！」

焦った顔をした男は、神威に向かって拳を落とす

＿＿＿＿＿が、そんなものは神威に通用するはずも無く

男の振り上げた腕が、血を飛ばせながら吹き飛んだ

「う、うああぁあああああああああ！！！！！！」

「うるさいなァ。早く質問に答えろよ」

そう言っては、もう片方の腕をへし折る神威

男または奇声を上げながら叫び続け、神威の声など届いてはいない様子

その様子を見てられないとAは顔を背けては目をギュッと瞑り、神威の声と皮肉な音だけが耳に入ってくる

「早く答えないと次は首が飛ぶよ？」

ねぇ、と言葉を続ける神威

「っクソ野朗ｫｵｵｵｵ！！！…はっ、触れた場所だァ？そんなのテメェが想像する以上に触れt…

グシャァアアアッ＿＿＿＿＿

また聞いたことのある似たような音が耳に入った

男の声がピタッと止まり、ドサっと体が地面に倒れ落ちる音

うっすらと目を開いて恐る恐るその場所へと目をやる

「…A」

不意に名前を呼ぶ神威の顔にはたくさんの血返り

その姿を見るだけでゾッとするが、同時に安心した。と脱力してしまうAの体

『か…っ、い……』

恐怖だったせいか声がまともに出せずただただ固まってしまっては神威を見つめることしかできない

「…団長ォ」

その時、神威の後ろからは少し歳のいったような男の人の声がする

「いいところ悪ィんだが、こっちは全部片付いたゾ〜」

顔と首が真っ二つたァ、可哀想なもんだぜ。とその男は神威の足元にある死体に向けて言う

「あぁ、こっちも片付いた。後始末よろしく阿伏兎」

阿伏兎と言う人は部下なんだろう、
「また面倒な事は俺かよ…」なんて言いながら姿を消し

そうして神威はトラックの床板に乗り込み、Aに近付く

「俺が怖い？」

『…こわ、…な、ぃ』

「嘘。こんなに震えてるのに？」

神威がフっとAの頬に手を当て、そう言う

『……神威、あいたっ…か、た』

今はどうでもいい。本音を洩らしたAの言葉に神威は大きく目を見開き、小刻みに震えていたAの体を抱きしめた

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