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ほんの一瞬、何が起きたか分からなかったくらいに
目の前の出来事にハッとする



『っ!…、っ』


こんな事慣れているはずなのに

何故か神威だけにはものすごく反応してしまう



顔を離そうと試みても、後頭部には大きな手が添えられ髪までが流れ落ちる
ガッチリと固定されては手で押し返すもビクともせず



『か、む…っ、やめっ…』


もうダメ、力に逆らえない。と理解したAは受け入れたかのように力を抜いた

まるで受け入れた、と思うようで恥ずかしさは更に増して目をギュッと瞑る



「……Aはここから出たいんじゃないの」

唇が離れて一言そういう神威


『…え?』


「俺と来いよ、A」

いつもとは格段と違う声のトーン



『本当は……』


本当は行きたい気持ちは山々



でも、怖いの________



その一言が言えなくて



『……ここに居た方が、私でいられる…から』

「…なんだよそれ」

『……』

「一生この場所で最期までいるつもり?」

『じゃあ聞くけど、どうして私なのっ…』



そう言えば、歪んだ神威の顔がまた近くにきて
今度はさっきより優しいキスが落とされる


「これでも分からない?」


『………』


「言っただろ?俺は欲しいものは必ず手にしたい主義なんだって」


『それでも…行かないって言えば…?』



強引に肩に手を添えられてはドサッと押し倒される

この光景は2度目だ_____


でも今は逆らうこともできなくて、神威の力に身を任せた



「ここで今お前を抱いて、俺の事を忘れられなくしてやるよ」



口端を上げていても目は笑っていなかった神威


その顔にもまた不覚に胸がギュッと締め付けられた




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作者名:キマイ | 作成日時:2023年3月19日 23時

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