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『冗談はよしてください』
「本気さ」
『…あなたは良く分からないです』
スルーしようと酒に手を伸ばすが、伸ばした手を阻止される
「名前で呼んでよ」
一瞬ビクッと反応すれば、掴まれる手から緊張と似たようなものが伝わって熱までもが集中する
『…か、むい』
改めて名前を呼ぶが恥ずかしさが込み上げて顔をまともに見ることが出来ない
「ははっ、ほんと見てて飽きないねAは」
『…揶揄うのはよして下さい』
「揶揄ってないよ」
『あの…手、離してもらっても』
「嫌だ」
と、ニッコリと笑顔の神威
なかなか表情を崩さない神威にAは戸惑う事がよくあった
何故だろう。と、そのままグイっと手を引かれ気付けば神威の腕の中
『っ…ちょ、神威っ…』
恥ずかしさのあまりに胸を押し返すがビクともしない
A、と首に顔を埋めながら言う神威に体が一時停止をする
「俺が連れ出してやるよ」
何を言っているのか、思考までもが一時停止状態に
『……い、行かない』
「俺が信用できない?」
『…』
本当はこんなところ今すぐ抜け出したい
でもそれと同じくらい神威に近づけば近付くほど、怖くなってくる
なんとも分からない感情がモヤモヤと胸の中で広がる
『とにかくっ、行かないから…離しっ…
不意に腕が緩んだとき、離れようと顔を上げたAの視界には至近距離の神威の顔
と、口には神威の唇が距離をゼロにしていた
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作者名:キマイ | 作成日時:2023年3月19日 23時