アネモア【神威】 (ページ16)

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こっちこっちと手招きをされて神威の隣に座るA

あ、そうだ。と手をぽんっとひと付きした神威が「客のこと、ごめんね」とだけ。

＿＿＿＿＿もしかして、

『…あなたの仕業ですか』

「そうだよ、でも嫌だったんでしょ？」

『あなたを相手にするのも気が引けます』

邪魔だから消してやった。と付け足す神威に疑問を抱く

『邪魔？頼んでもないしあなたには関係ないですよね』

「そんなに怒らないでよ、気に入ったんだよアンタを」

『そもそも関わらないでと言ったはずですよね』

こう言われては言い返すの繰り返しが続き、呆れて先に黙ったのは私の方だった

「男達に金さえ撒いてりゃ、もう来ないって怖気ついてたよ」

と、またにこりと笑う神威

どうせ脅したんだろうとなんとなく想像がつく

「お酒注いでよ」

とそばに置いてあったお猪口を差し出してくる神威に酒を注いでやる

『…どうして来たんですか』

「来ちゃ駄目？」

『駄目です。まだ若いですよねあなた』

「そういうAこそ、俺と変わんないんじゃないの」

『私は、…』

売られたから＿＿＿＿＿＿＿

何故かその言葉だけが喉の奥で詰まる

「そう言えば、もう傷は治ってるよね」

なんて言う神威が指差す先は私の脚

この間の客に傷つけられた部分のことだろう

『…次の日くらいには』

「その日に治らないんだ、夜兎の血が流れてるのにやっぱり回復は遅いんだ」

夜兎

この言葉にまたビクッと反応してしまう

『…私のどこまでを知ってるんですか』

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