アネモア【神威】 (ページ12)

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女は俺を見るも、驚いた様子や恐怖を感じさせずに薄く綺麗な唇が動く

殺してくれ、とどこかに意識があるのか焦点が合っているのかさえわからない紅い瞳は霞んで見えた

違うニオイはこの女だったのか＿＿＿＿＿と、少しばかり俺と同じニオイがする、いや、ほんのりとする夜兎の血か＿＿

俺は女に近づき頬に手を添えた

なんとなく引き込まれそうになるその瞳に「綺麗な色だね」と短い言葉たちを並べる

女はビクともせず、瞬きをすることもなく見つめ返してくる

女には興味がない、女でも容赦なく殺した事もある。だが殺すと選択肢は出なかった

夜兎の血が流れているから＿＿＿＿なんて、本当のことだが言い訳したさに出た言葉のような

女は子を授かり、産む

そうだ、強い奴が産まれるかもしれない

なおさらお前みたいな女からは、特に＿＿＿＿＿

「お前、名前は？」

にっこりと微笑みながら問う神威に、女はまた薄く唇を開いた

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『………A』

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