【銀魂】彼女の小指には赤い糸が沢山ある【沖田総悟】

浮気相手が、44人目 ページ44

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彼の指に本能的に全員が視線を上に向ける。
が、私だけが違った。
倒れずに尻もちをつかなかった体は
誰かによって支えられていた。

そう、兎によって。



「…か、むい」


「なっ、お前っ!!」



私の口から出た兎の名前に
反応したのは、神楽ちゃんだった。
そう言えば神楽ちゃんも夜兎だよね。
知り合いかと思って二人を見ると
気づかなかったけれど彼らはとても似ていた。

兄妹、だろうか。
兄妹だとわかるくらいに似ていた。



「ごめんね、ちょっとこの子の事
お兄ちゃんが借りてくよ
…返すかは分からないけれどね」



私に近寄ろうとするとそれを高杉様が止める。
止め方は、…私の首元に刀を当てて。
神威に支えられた時に掴まれた腕により
抵抗する事は叶わなかった。



「俺の飼う兎は少々手荒でな。
月に限らずどこからでも現れるのさ」



銀時達も、近寄ることは出来ない。


私は、そのまま彼らに攫われる事となった。






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船かと思ったけれど、歩きだった。
刀を首に当てられて手首を後ろで縛られたまま
人通りの少ない道を選んで歩く。

雨を凌ぐ傘は神威が指してくれた。



「宇宙に放り出されて生きてるなんて凄いネ」


「…」


「あ、もしかして"下に戻る"のが嫌?」


「…」



彼の言葉に、返事を返す気にはならなかった。
神威は話していても私が返事を返さないので
独り言になってしまいつまらないのか
視線を高杉様へと向けると問いかけた。



「で、彼女を連れたらどうなるの?シンスケ」


「…愛染香を貰い受ける。
っつってもテメェが知るわけねェか」


「うーん…食べ物?だとしたら
なんか不味そうな名前だけど」


「惚れ薬みてーなお香だ。
コイツを連れてくる代わりに
裏でソレを貰い受ける手ずでな

それをどう利用するか考えるのはこれからだ」


「ふーん」


「着いたぞ」



彼の言葉に、全員の視線が正面に向けられる。
純和風の造りの門が目の前に広がり
そこには門番のように女の人が二人。

私の姿を見るなり、神威達が何も言わずとも
門を開け、奥に通してくれた。

門を潜ればまるで祭りの夜のような煌めき。

男女が歩いたり建物に入ったり
或いはまるで牢獄に閉じ込められたような
女性達が道を歩く男に縋っていたり。



遊郭、吉原。



それがこの場所の正体だ。

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