【銀魂】彼女の小指には赤い糸が沢山ある【沖田総悟】

浮気相手が、27人目 ページ27

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そう思ったけれど、微かに気配を感じた。
弱い、それでも、殺気。

どこからだ?…もう、あたり一面は宇宙。


それでも確かに殺気を感じる。


右に左に前に、後ろ。どこにも彼は居ない。
上を見てから今度は下。…ああ、やっとわかった



「ふふ、そこに居たんだ。
君、もう落ちそうじゃない?

船に必死にしがみつくその手

踏んだらどうなるかな?」



やはり彼は何も言わない。
彼は、船の側面に手を掛けて
両腕の力だけで耐えていた。

少しだけ見える彼の瞳には
やはり殺気立っている。


めんどくさいなぁ、と思い
船の端に寄って彼の手を踏もうとした時。

そう、丁度片足を上げたタイミングで



「…ん…。…え、あれ、えっ!?」



彼女ら起きて自身の体を揺らした。

降りようとしたと言うより焦ったのだろう。
なんせ、起きたら周りは宇宙で
俺に抱かれているわけなのだから。


俺は強い。強いと自負してる。
けれどそれでも、バランスを崩したら
立て直すのまでには時間が掛かって

例えば、船の側面に居て
目の前に床も壁も無いとしたら


それは流石に俺でも勝てないネ


彼女はバランスを崩した俺の手から離れ
宇宙へ真っ逆さまに落ちる。



「えっ…いやぁぁぁッ!」



彼女は頭から落ちていき
そして、それを見た彼は彼女に手を伸ばし
共に落ちていくのが見えた。

俺は落ちそうになる直前に
先程、彼の居た船の側面を咄嗟に掴む。
俺は片手で余裕で船に登れるけれど
登ってから下を見ると二人の姿は無かった。



「ん?何見てんだよ団長」



後ろから聞こえる聞き飽きた声に
俺は振り向かないままに
純粋な疑問を彼に問いかけた。



「ねぇ阿伏兎、人間がここから落ちたら死ぬ?」


「そりゃあ、死ぬんじゃ…。
…は?…いや待て、お前がそんな変な
質問してくるってことはまさか」


「二人くらい落ちていったかな。
もう見えなくなったけど。
…ま、死んだならその程度だったってだけだネ」


「おま、また勝手な事しやがって…」



俺は彼女を連れ去った。
彼女は他の人間とは違って俺と似ていた。

反吐が出る程似ていて嫌気が差して


けど、彼女も、根は人間だった訳だ。


それを知った瞬間に俺の中の何かが
急激に冷めていく感覚がした。



「…ガッカリだ。」



俺の中に、もう彼女に求める物は無くなった。

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