【銀魂】彼女の小指には赤い糸が沢山ある【沖田総悟】

浮気相手が、20人目 ページ20

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ー沖田side



翌日、俺は非番でいつもなら
仕事が休みとなると昼まで寝てるものだが
今日に関してはまず一睡も出来なかった。

土方とAがあんな事をしてるのを見て
普通に寝れるわけがない。

このままじゃ俺の腑に落ちないと言うのと
髪飾りを返すために俺はAがいつも
屯所に来る時間より前に屯所の門の前で
Aを待つ事にした。
待ち時間に苦は感じなかった。


Aが屯所から見える距離まで来ると
昨日の事など無かったかのように
微笑みながら俺に手を振ってきて
今回ばかりはその態度に無性に腹が立った。



「おはようございます
沖田くん、今日は早起きですね!」



俺を呼びかける声はいつもと同じで
もしも昨日の光景を見なければ
俺も普通に答えてただろう。



「…アンタ、良くそんな態度取れやすねェ?」


「え?」


「昨日、自分が何してたか分かってんだろィ」


「…」



俺の言葉に、彼女は何も答えずに
目線を逸らした。それは
気まずいとか言い訳を考えてると言うより
諦めたような笑みを浮かべていた。



「ごめんなさい。…でも
私、沖田くんの事、好きですよ」


「…はぁ?」


「沖田くんの事、好きです」


「…」



どうせ誰にでも、…笑って誰にでも言ってる言葉
分かってるのにそれでも台詞を吐いては
相手を戸惑わせて、楽しんでる。

小悪魔なんて言葉じゃ足りない。


彼女を形容する言葉が見つからない。


また、戸惑わせたって
もうその台詞に喋り方に表情に
騙されてやるつもりなんて毛頭ない。

けれど別れるつもりもない。



「…この髪飾り、部屋に忘れてたぜィ」



ポケットから髪飾りを出すと
彼女は一瞬だけ驚いたように目を見開くと
すぐに笑顔を貼り付けて髪飾りに手を伸ばす



「ありがとう、大切な物で探してて……え?」



俺は彼女が髪飾りに触れる直前手を引っ込めた
彼女も手を引っ込めると一瞬だけ
睨むように目を細めて俺を見た。

それは、恐らく彼女の素の表情だった。


すぐに可愛らしい笑顔に変わったけれど。



「…えっと、…返して欲しいな?」


「名前もねえし、警察が落し物を
易々と人には渡せねぇでさァ」



もっと、アンタの素の顔が見たい。

そう思ってこの髪飾りをネタにしてみたが

彼女の笑顔もそう易々と崩せる
安物の仮面でも無かったらしい。



「そうですか。わかりました。
…それでは私は、仕事をしてきますね」



彼女はまるで人形のように笑っていた。

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