好きだけじゃ、超えられない壁がある【坂田銀時】

17話 ページ19

銀時side


あれから、何をするにも手掛かりがなさすぎるので、少し様子を見ることになった。新八を家に帰し、Aが家に帰ってきたら連絡するよう伝えた。


何するべきか分からない俺は万事屋でソファーに寝転がり、ジャンプを読んでいた。


｢銀ちゃん、Aのこと心配アルカ？｣


酢昆布をかじりながら、神楽が俺に尋ねた。


｢…誰があいつの心配なんざするかよ｣


｢…嘘つくなヨ。ジャンプ向き逆ネ。｣


｢…わざとに決まってんだろ｣


口ではこう言うが、やはり心配なのかもしれない。ココ最近は姿すら見ていなかったから余計に…。あの時もっと他にこんなんにならないようなやり方があったんじゃねぇかって思ってる。


新八からの電話を待つしかない俺はどれだけ無力なのだろうか。


いくら何を考えても、Aの無事を祈ることしか出来ない俺は再びジャンプに目を向ける。…話の内容なんて何も頭に入ってきやしないが…。





そして、遂に万事屋に電話の音が鳴り響く。


｢もしもし…｣


｢銀さんですか！？｣


やはり電話は少し焦ったような声の新八からだった。これだけでAが、帰ってきていなのは必然だった。


｢…帰ってきてねぇんだな｣

｢…はい。姉上が外でずっと帰ってこないか見てるんですが、帰ってきそうな感じもないんです…。｣





｢わかった｣そう伝えると、電話を切った。神楽がとても心配した様子でこちらを見ている。こんな遅せぇ時間に神楽を連れていくわけにも行かず、頭をポンと撫でて万事屋に居るよう言った。

神楽は｢Aちゃんと探してこいヨ｣と言って俺を見送った。



(当たり前…。)


木刀を腰に刺し、万事屋を降りて新八の家に向かっていった。

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