真に強き者とは何たるか。 ページ21
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「えっ!!ちょっ何す」
言い終わる前に私を横抱きする沖田くんは、彼らの元へ全速力で駆け出した。
(ちょっと、待っ、私瞬殺される....!!!)
ひぃぃぃっ!!と小さく悲鳴を上げていると、私の体は銀さんの隣に降ろされた。
「え?」
目の前の神楽ちゃんと新八くんは、私達の盾のように攻撃を受け交わす。
「真選組に応援を呼んだからもうすぐ来る。それまで俺達が相手しとくから、何かあったら直ぐに俺を呼べ。」
それだけ言い残すと二人の前まで行き、鞘から刀を抜いた。
(ありがとう...沖田くん....)
彼の純黒の背中を見ながら私は何度も心の中で礼を言った。
「A、大丈夫か....怪我、してねぇか、」
掠れた声で私の心配をする銀さん。
私は血まみれの手を思い切って握り、銀さんの頭を膝に乗せた。
どくどくと脈を打つ度に血が流れ出ていく。
「おかげさまでこの通りですよ....だから自分の方を心配してください.......ごめんなさい...」
秋風に吹かれて乾いていた頬に再び大粒の涙が伝う。
「お前のせいじゃねぇよ....思い出したんだ、竜胆の正体を。...あいつは、確かに、あの依頼主が探していた妹だった。」
浅い呼吸で息も絶え絶えに何とか声を振り絞る。
「わかりました、わかりましたから、もう無理して喋らないで....その事は、また後で話しましょう?
明日も明後日も一緒にいるんですから、時間なんて十分ありますよ....」
閉じかけの瞼を何とか保つ彼の目を見つめ、ボロボロと余計な水分を落としていく。
「銀さんごめんね、私なんにもできなくて...手当の仕方も分からなくて.....でも竜胆の目的が貴方だから、この場から動けないし.....」
すると、銀さんはもう片方の手に微塵の力を込めて、私の頬を撫で、涙を拭った。
生温い血が頬と親指をぬるりと滑らせる感触がする。
「んなぐしゃぐしゃな面してんじゃねぇよ...
心配すんな、男ってぇのはな、下がピンピンしてりゃ大丈夫な生き物なんだよ、」
「バ、バカか!!銀さんのバカ!!///
....そんなこと言って死んだら来世まで恨みますからね!!!」
心配する私を気遣って、こんな時にも冗談を言う銀さんの手を強く握り締めた。
「おー...そりゃ怖ぇな...
......けど、俺ァ死なねぇよ。
大切なもん置いて死にやァしねぇよ。」
微かに口角を上げた銀さんを見て、私は満面の笑みを浮かべながら、思った。
彼を好きになって、本当に良かった、と。
どの勝負においても不意打ちが必勝法→←無知は罪なり、無力もまた罪なり
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紅狼 - とても良い作品でした!!続きがめちゃ気になります!!更新頑張ってください!応援してます!!!!!! (1月8日 1時) (レス) @page50 id: c1d0e4500e (このIDを非表示/違反報告)
yuki(プロフ) - ストーリーがすごく好きです!!続きが楽しみです。 (2023年3月30日 21時) (レス) id: 17169564a0 (このIDを非表示/違反報告)
らいあ - 言葉が出ないくらいすごい作品でした!!!続き楽しみにしています! (2022年1月14日 17時) (レス) id: 5ed45ad072 (このIDを非表示/違反報告)
常夏(プロフ) - この作品大好きです! (2021年2月5日 22時) (レス) id: 3853130063 (このIDを非表示/違反報告)
みっかぼーず(プロフ) - すごく面白かったです!!ストーリーが良く作り込まれていて尊敬します (2020年4月19日 0時) (レス) id: 90b29dc37c (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:のと丸 | 作成日時:2019年10月1日 3時