無知は罪なり、無力もまた罪なり ページ20
.
「何でヨ銀ちゃん!!」
叫ぶ神楽ちゃんを無視して、僅かな力を振り絞りながら攻撃を受け止める銀さん。
(嘘....嫌だ....嫌だ銀さん......死なないで....)
瀕死状態の彼の姿を見て、私は言葉を詰まらせる代わりに大粒の涙を零す。
「銀さん!!僕らを止めないでください!!」
そう言うと新八くんは竜胆を睨みつけ、刀を構えた。
「止めろ新八!!!そいつの体はAの体だ!...ぐはっ」
「「銀さん/ちゃん!!」」
叫んだ反動か、銀さんは血を吐き出して地面に膝を着いた。
二人は竜胆に襲いかかるのをやめ、銀さんの前に立ちはだかり、身を守る事に徹した。
私のせいで皆手を出せずにいる、なのに元凶の私はただやられていく様を呆然と見ることしかできない。
なんて無力。
なんて役立たず。
「ぐあっ!!」
「神楽ちゃん!!!」
銀さんの言葉を守って反撃しない神楽ちゃんは、竜胆の一撃をもろに食らった。
白い腕に伝う紅い血が月光を浴びて光る。
夜兎族の神楽ちゃんでさえ竜胆の攻勢に押されていた。
二人は自分の体が悲鳴を上げているのにも構わず、武器を振るう。
「やめて.....やめて......」
あまりにも無謀すぎる愚行だと分かっていても、傍観する事が耐え難かった私はゆっくりと歩き出した。
しかし、そんな私の腕を沖田くんが掴んで止めた。
「!離して!!」
「ダメだ!!」
「何で!!皆が死んじゃうよ!!沖田くんも助けてよ!!何で助けに行かないの!!?」
俯くせいで前髪が邪魔して表情の読めない彼は、少し間を置くと、口を開いた。
「旦那に頼まれたんだ、あんたを何がなんでも守ってくれって。いつ神威達が現れるか分からねぇ。俺がお前残して戦ったら、誰がお前を守るんだよ。」
「そんな....」
顔を上げた彼は、怒りに燃えるようにギラギラと光る赤い瞳で私を見据えた。
そうだ、彼だって耐え難いはずなのに、
銀さんとの約束を守るために堪えてるんだ。
何も知らずに私はまた、
「でも、それでも....私嫌だ、あの三人がいなくなったら、私だけ助かっても意味無いよ.....お願い、助けて。」
彼らが視界に入る度に胸が強く強く締め付けられ、私は必死の思いで沖田くんにすがりついた。
「ったく、約束破った責任はお前が取れよ。」
彼はほんの少し微笑んだかと思うと、ニヤリと口角を上げ、私の体を両手で持ち上げた。
俗に言う、お姫様抱っことか言うやつだ。
真に強き者とは何たるか。→←もうご存知だとは思いますが、『〜side』という表記がないものは貴方目線になっております
247人がお気に入り
この作品を見ている人にオススメ
「銀魂」関連の作品
感想を書こう!(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
紅狼 - とても良い作品でした!!続きがめちゃ気になります!!更新頑張ってください!応援してます!!!!!! (1月8日 1時) (レス) @page50 id: c1d0e4500e (このIDを非表示/違反報告)
yuki(プロフ) - ストーリーがすごく好きです!!続きが楽しみです。 (2023年3月30日 21時) (レス) id: 17169564a0 (このIDを非表示/違反報告)
らいあ - 言葉が出ないくらいすごい作品でした!!!続き楽しみにしています! (2022年1月14日 17時) (レス) id: 5ed45ad072 (このIDを非表示/違反報告)
常夏(プロフ) - この作品大好きです! (2021年2月5日 22時) (レス) id: 3853130063 (このIDを非表示/違反報告)
みっかぼーず(プロフ) - すごく面白かったです!!ストーリーが良く作り込まれていて尊敬します (2020年4月19日 0時) (レス) id: 90b29dc37c (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名:のと丸 | 作成日時:2019年10月1日 3時