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心臓は心に一番忠実な臓物 ページ11

〜銀時side〜



バチリと音が出そうなほど確実に目が合った。



その瞬間飛んできた何かを、鞘を抜かないままの刀で咄嗟に打ち返す。



落ちたそれは、よく見ると苦内(くない)だった。



(あぶねー)


反応できていなかったら今頃目ん玉にずぶりだったな。


肝を冷やしつつも再び女の顔を見ると、火傷跡はなかった。



「あの男を殺したら、そしたら大人しく投降しよう。」


竜胆のその発言で、一時止んでいたざわめきが勢いを増して起こった。



俺を殺したいのには変わりないらしい。




でもこっちも質問したいことが山ほどあるんだ、いい機会じゃねぇか。




すると竜胆は何の脈絡もなく割れた窓からそそくさと出ていった。



「「追うぞー!!」」



掛け声で一斉に工場から外へ出る真選組の野郎共を放っといて、



俺は一人で竜胆の後を追った。



(後ろから神楽達がついて来てる気配はするけど)



月光が眩しい程に視界を照らすおかげで、竜胆を見失うことは無いが、




(何だ、誘導でもされてんのか?俺、さっきからチラチラこっち見るし、何なんだ?)



不審な行動をする竜胆は、やがて巨大な高層ビルの屋上でその姿を消した。




屋上を目指してビルの中に入ると、警備員を振り払ってエレベーターに駆け込んだ。





1から100までの数が順々に点滅していくのをもどかしく見つめる。



(にしても竜胆が依頼主の探してる妹だったとしても、依頼書を見せた時の反応無さすぎだろ。)



(まそれは置いとくとして、俺が一体誰を殺して竜胆の恨みを買ったのかをまず聞くか。)



混沌とした頭の中を何とか整理すると、呼吸を整え、屋上の扉を開いた。




待っていたと言うように立っていたのは、何の感情も伺えない真っ直ぐな目を向ける竜胆だった。




「あの子、名前何ていうの」





第一声がそれ?と驚きながらも冷静に答える。





「Aだ。」




「そう、じゃあ銀時、私の代わりにAに謝っておいてくれない?」





「嫌に決まってんだろーが、お前の伝言板になる義理はねぇぞ。
だいたい心から反省してんなら、本人に直接謝るのが道理ってもんだろ。」



顔を俯かせ「へぇ、言うね」と呟くと、竜胆はまるで別人のような殺気立った目で睨みつけてきた。








「その道理を教えてくれた人には、謝らなくていいんだ。」







その言葉を耳にした瞬間、








槍に突かれたようにドクンッと心臓が飛び跳ね、









頭の中が真っ白になった。

半端な心意気で殺生するのは何よりも失礼→←棚からぼたもちが落ちてきたのは、偶然なわけがない



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紅狼 - とても良い作品でした!!続きがめちゃ気になります!!更新頑張ってください!応援してます!!!!!! (1月8日 1時) (レス) @page50 id: c1d0e4500e (このIDを非表示/違反報告)
yuki(プロフ) - ストーリーがすごく好きです!!続きが楽しみです。 (2023年3月30日 21時) (レス) id: 17169564a0 (このIDを非表示/違反報告)
らいあ - 言葉が出ないくらいすごい作品でした!!!続き楽しみにしています! (2022年1月14日 17時) (レス) id: 5ed45ad072 (このIDを非表示/違反報告)
常夏(プロフ) - この作品大好きです! (2021年2月5日 22時) (レス) id: 3853130063 (このIDを非表示/違反報告)
みっかぼーず(プロフ) - すごく面白かったです!!ストーリーが良く作り込まれていて尊敬します (2020年4月19日 0時) (レス) id: 90b29dc37c (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:のと丸 | 作成日時:2019年10月1日 3時

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