半端な心意気で殺生するのは何よりも失礼 ページ12
〜銀時side〜
あまりの衝撃に二の句が告げられずにいると、再び竜胆が口を開いた。
「憎い！！憎くて仕方がないよ！！！なんで...なんで」
感極まったのか竜胆も黙り込んだ。
秋の冷涼な風が二人の間を吹き抜ける。
ああ、
やっぱり、松陽の事だったのか。
コイツも、
高杉と同じなのか。
松陽を手にかけた俺を恨んでるのか。
だがそれだけじゃ腑に落ちない事だらけだ。
なぁ、お前は一体何者なんだ？
何であの場にいたわけでもないお前が
松陽を手にかけた事を知ってるんだ？
「お前は一体....誰だ」
心の声が口からこぼれると、竜胆は一瞬だけ、
酷く傷ついた女の表情を見せた。
「私は....私は竜胆だ！！！」
竜胆の必死の叫び声を合図に、戦いの火蓋が切られた。
刃を月の光で鋭く光らせ、女とは思えない、いや、人間とは思えない速さで斬りかかってきた。
「ぐっ！」
いつもの木刀で対抗するが、その圧倒的な威力に、ある言葉を思い出す。
(『夜兎族並の強さ』『夜兎に限りなく近い存在』
ったく冗談じゃねーよ！！)
ギリッと奥歯を噛み締め、鬼の形相をした竜胆の攻撃を全神経を集中させて交わし続ける。
(夜兎じゃねぇんなら何だよコイツ！！)
体の一部からは既に血が出ていたが、気にする余裕もない。
「オイ待て！！聞きたいことがあんだよ！！！」
「うるさい！！うるさい！！！」
まるで子供の駄々こねのように聞く耳を持たない竜胆は、怒りのあまりか目が潤んでいた。
「竜胆ッ！！！！」
叫んだと同時に竜胆の刀を振り飛ばし、その反動で尻もちを着いた竜胆の両手を奪い、馬乗りになってそのまま押し倒した。
両手を封じられて恨めしそうに憎そうに、けれど悲しそうに俺を睨む、Aと同じ顔の竜胆。
気付けば、今まで潤んでいた瞳からボロボロと涙の粒が零れ始めて、ギョッとした。
「何だー？俺ぁ涙には騙されねぇぞ？」
と言いつつ溢れ出る涙を袖で拭ってやると、
「嘘だろおい...」
拭った頬から大きな火傷跡が現れた。
(....白粉で火傷跡を隠してたのか、)
すると俺の腕を掴んだ竜胆が、弱々しく言葉を発した。
「銀時.....先生を.......松陽先生を返して.......」
その瞬間、火傷跡があらわになってからの竜胆の泣き顔を見て、
いつなのか、どこなのか分からない鮮明な記憶が、
一斉に脳裏に蘇った。
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紅狼 - とても良い作品でした！！続きがめちゃ気になります！！更新頑張ってください！応援してます！！！！！！ (1月8日 1時) (
レス) @page50 id: c1d0e4500e (このIDを非表示/違反報告)
yuki(プロフ) - ストーリーがすごく好きです！！続きが楽しみです。 (2023年3月30日 21時) (レス) id: 17169564a0 (このIDを非表示/違反報告)
らいあ - 言葉が出ないくらいすごい作品でした！！！続き楽しみにしています！ (2022年1月14日 17時) (レス) id: 5ed45ad072 (このIDを非表示/違反報告)
常夏(プロフ) - この作品大好きです！ (2021年2月5日 22時) (レス) id: 3853130063 (このIDを非表示/違反報告)
みっかぼーず(プロフ) - すごく面白かったです！！ストーリーが良く作り込まれていて尊敬します (2020年4月19日 0時) (レス) id: 90b29dc37c (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：のと丸 | 作成日時：2019年10月1日 3時
