里帰りは定期的に(訂正しました) ページ41
〜竜胆side〜
それぞれが名を名乗り簡単な自己紹介を終えると、私はさっきの質問を三人に問いかけた。
「それで、さっきの話なんですけど、晋助く...晋助はどうして片目を怪我したんですか?」
「それは...私達も触れないことにしてるんスよ。あの片目は攘夷戦争で失ったとしか、聞いてないっスから。」
不確かだと言わんばかりに彼女は浮かない表情を見せた。
しかし私はその言葉に対して確かだったのだ、と確信した。
苦虫を噛み締めたような後味の悪さが口の中に広がるのを感じながら、自分で納得するように呟いた。
「それで晋助...は、今も天人達と戦っている...と。」
するとその言葉に対して万斉さんが口を出した。
「何を申すか、今の我々の敵は幕府でござるよ。天人との戦いなどもうとっくに終戦したでござろう。」
「え...?」
思考回路が停止して、自然と声が漏れた。
「じゃあ、攘夷戦争は...天人とはいつ戦うのを止めたと言うんですか...?!」
呆然とする私に今度はまた子さんが答えた。
「十年くらい経ったんじゃないっスかね。てか、竜胆さん本当に何も知らないんスね。」
「じゅ、十年...!!?」
突然出した大声が三人を少なからず動揺させた。
(高エネルギー体の摘出実験で見せられたあの映像は、先生が銀時に斬られたのは、つい最近のことだったはずなのに.....
まさか私、木箱の中で十年間も寝てたってわけ....?)
その時、もう尋常ではない自分の体の特異性に恐怖を覚えた。
運良く知り合いの宇宙船に着くまでに、私は長い間眠っていたらしい。
「そんじゃ、今の江戸を見たら驚愕して腰抜かすかも知れないっスね。」
皮肉っぽく鼻で笑うまた子さんの目線の先には、巨大な画面に映る見知らぬ近未来な都市が広がっていた。
「こ、これが、今の、江戸......!?」
ひぇ、と変な声を漏らして、また子さんの予言通り私は腰を抜かして冷たい床に座り込んでしまった。
「随分と変わってしまったように見えるでしょうけど、実際まだ変わらないものだらけですよ。心配する必要はありません。」
私の隣に立った武市さんがそう言って私を立ち上がらせた。
「そうだといいんですが....」
後ろ向きな言葉を残して私は暫くそこに映る変わり果てた江戸を見つめた。
果たして私の故郷は、私の帰る場所はまだ残っているのか。
見たことも無い数々の建築物の壁面が、日光で輝く度に私の不安は募っていった。
失って初めて気付くものは、いつだってかけがえのないもの→←初恋なんて大抵傍から眺めてるだけ
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紅狼 - とても良い作品でした!!続きがめちゃ気になります!!更新頑張ってください!応援してます!!!!!! (1月8日 1時) (レス) @page50 id: c1d0e4500e (このIDを非表示/違反報告)
yuki(プロフ) - ストーリーがすごく好きです!!続きが楽しみです。 (2023年3月30日 21時) (レス) id: 17169564a0 (このIDを非表示/違反報告)
らいあ - 言葉が出ないくらいすごい作品でした!!!続き楽しみにしています! (2022年1月14日 17時) (レス) id: 5ed45ad072 (このIDを非表示/違反報告)
常夏(プロフ) - この作品大好きです! (2021年2月5日 22時) (レス) id: 3853130063 (このIDを非表示/違反報告)
みっかぼーず(プロフ) - すごく面白かったです!!ストーリーが良く作り込まれていて尊敬します (2020年4月19日 0時) (レス) id: 90b29dc37c (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:のと丸 | 作成日時:2019年10月1日 3時