当たり前だが、思い出してしまえば暫くは忘れたくても忘れられない ページ18
〜銀時の記憶side〜
そうだ。
結局依頼書を木に挟んだまま松陽と出会して、
無理やり教室に連れて行かれ、授業を受ける羽目になったんだ。
隙を見て取りに行ったが、高杉に肩車してもらって隠したせいで自力で取ることは叶わず、
また今夜松陽にバレないように、今度はヅラに肩車してもらおうと踵を返したんだ。
そしてその夜だった。
事件が起きたのは。
正体の知れない集団が押し寄せ、
いとも簡単に松下村塾は火の山になった。
大切な居場所が燃え盛る業火に呑まれていく光景があまりにも衝撃的すぎて、
俺はそのまま依頼書の事を忘れてしまった。
焼失していく寺子屋を背に松陽を人質にとられ、
俺は、俺達は、
攘夷戦争に否応無く駆り出されることになった。
そうか、俺は、
昔の俺がずっと探していた人間を、
今の今まですっかり忘れてしまっていたらしい。
そして、そんな相手の顔を忘れておきながら、
淡くて執念深い恋心だけは、
ずっと心の隅に潜んでいたらしい。
すると突然思い浮かんだのはAの笑顔だった。
そうだとしたら、どうなるんだ？
もしかして、俺がAに抱いていた感情は、
竜胆に対する感情だったのか？
Aを見る度に胸が痛くなったのは、
昔の竜胆の面影と重ねていたからなのか？
俺は未だに、竜胆が....好きなのか.....？
「ぐはぁっ！！！」
一斉に蘇った記憶に頭が追いつかず、狼狽える隙をつかれて竜胆の馬鹿力に振り飛ばされた。
痛む傷口を押さえながら重い腰を上げ、刀の柄を握り直すと、猛烈な速度で竜胆が襲いかかって来た。
(こいつさっきより力強くなってやがる！！)
復活した夜兎並の怪力に、俺は対抗する事もままならなくなっていた。
(...こんなんになるんだったら、思い出さなきゃ良かったかもな、)
迫り来る憎悪と殺気の目を見ながらそう思った。
こいつには俺を斬る資格があるんじゃないのか、と思うと刀の振りに迷いが出る。
初恋にやたら固執するせいで、攻撃の受け止め方を見分ける判断が遅れる。
気付けばもう俺の体はボロボロになってしまっていた。
刀をついて立つのがやっとってくらい、柄にもなくやられまくっている。
(このままやられ続けたら、もうすぐ死ぬな、俺。)
けどもう、竜胆の正体を知ったからには、
俺にこいつは倒せねぇ。
もうご存知だとは思いますが、『〜side』という表記がないものは貴方目線になっております→←銀さんの過去編��
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紅狼 - とても良い作品でした！！続きがめちゃ気になります！！更新頑張ってください！応援してます！！！！！！ (1月8日 1時) (
レス) @page50 id: c1d0e4500e (このIDを非表示/違反報告)
yuki(プロフ) - ストーリーがすごく好きです！！続きが楽しみです。 (2023年3月30日 21時) (レス) id: 17169564a0 (このIDを非表示/違反報告)
らいあ - 言葉が出ないくらいすごい作品でした！！！続き楽しみにしています！ (2022年1月14日 17時) (レス) id: 5ed45ad072 (このIDを非表示/違反報告)
常夏(プロフ) - この作品大好きです！ (2021年2月5日 22時) (レス) id: 3853130063 (このIDを非表示/違反報告)
みっかぼーず(プロフ) - すごく面白かったです！！ストーリーが良く作り込まれていて尊敬します (2020年4月19日 0時) (レス) id: 90b29dc37c (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：のと丸 | 作成日時：2019年10月1日 3時
