銀さんの過去編�� ページ16
〜銀時の記憶side〜
ぐわりぐわりと海底に溺れていくような感覚。
昔の記憶が一気に頭の中に広がっては過ぎていく。
すると今度は、10歳くらいのガキの頃の記憶から少し飛んで、思い出す映像の俺は12歳くらいだった。
＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿.....
ある日、そう、日常に溢れるごく普通のある日だ。
竜胆がなんの脈絡も無しに姿を消した。
夏の猛暑が過ぎ去り、朝夕がようやく涼しくなってきた頃だった。
一週間ほど近辺を探したものの、帰ってこないまま結局１ヶ月経ってしまっていた。
何がなんでも見つけ出そうと、俺は藁にもすがる思いで便利屋に捜索依頼の書を取った。
そして筆を滑らせながらある事に気付く。
(これ、もしアイツが見つかったとして、この依頼書を読まれたら、依頼主が俺だってバレるよな....)
便利屋にまで頼むほどお前の事探してたんだぜって言ってるようなもんじゃねぇか！と焦って、また書きかけの紙を丸めて捨てた。
気を付けないと、今の今まで想いを秘めてきた努力が水の泡になっちまう。
もし隠さずにいられたのなら、もうとっくに告白してただろう。
けど、隠さざるを得なかった。
竜胆が松陽の事を心から慕っている事に、
俺は気付いていたからだ。
それでも想いは募り続け、どうしようもなかった。
(松陽に書いてもらうか？アイツがもしこの依頼書を読んだ時、松陽の方が喜ぶだろ。
高杉やヅラならまだしも、俺が書いたとなるとそれこそ不自然だしな。)
しかし、最近松陽の姿も時々見なくなることがあり、今まさに留守だった。
帰ってくるまで待ってられない、と松陽の字を真似て書いた。
「よし、できた...」
呟きながら最後に松陽の名前を書いた。
書き終えた俺は、込み上がる怒りで眉間にシワを寄せていた。
(なんで何も言わずに消えちまったんだよ....死んだりしてたら許さねぇぞ...)
心の中では文句ばかり吐くが、本音はもちろん
ただ、彼女に会いたい、それだけだった。
もう一度あの笑顔が見たい、
それが松陽に向けられる笑顔だったとしても。
好きな人一人守れない無力さが歯痒くて仕方がなかった。
気付けば目の前がぼやけてて、澄み切った時には、松陽の字がじわりと滲んでいた。
(ヤベッ)
それからもぽたぽたと涙が依頼書に落ちるため、慌てて涙を拭った。
紙を三つ折りにすると、宛もなしに便利屋を探しに外に出た。
(続きます)
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紅狼 - とても良い作品でした！！続きがめちゃ気になります！！更新頑張ってください！応援してます！！！！！！ (1月8日 1時) (
レス) @page50 id: c1d0e4500e (このIDを非表示/違反報告)
yuki(プロフ) - ストーリーがすごく好きです！！続きが楽しみです。 (2023年3月30日 21時) (レス) id: 17169564a0 (このIDを非表示/違反報告)
らいあ - 言葉が出ないくらいすごい作品でした！！！続き楽しみにしています！ (2022年1月14日 17時) (レス) id: 5ed45ad072 (このIDを非表示/違反報告)
常夏(プロフ) - この作品大好きです！ (2021年2月5日 22時) (レス) id: 3853130063 (このIDを非表示/違反報告)
みっかぼーず(プロフ) - すごく面白かったです！！ストーリーが良く作り込まれていて尊敬します (2020年4月19日 0時) (レス) id: 90b29dc37c (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：のと丸 | 作成日時：2019年10月1日 3時
