毒で治す治療法だってあるのだから ページ24
「濡れ衣着せられたまま死んでいい人間なんていねーよ。いたとしたら、そいつはもう正気の沙汰じゃねぇ。」
心が抗っても体は素直なのか、彼の言葉に自然と首を下ろした。
でも正直、心が片隅でそう思っているから行動に出た事は分かっていた。
そうだ、本当は赤の他人の罪を着せられて死ぬなんてまっぴらごめんだった。
でも私は確実な証拠を腹に抱えている。
どう弁明したところで、論より証拠、全て私の戯言で片付けられる。
片付けられてきたのだ。
私も何度も反論したけど、誰も聞いてくれなかった。
脇腹の傷が憎くて何度も抓ったせいでアザが出来たほどだ。
どう足掻いても無駄だった。
そして最後の頼みの綱だった銀さん達も、もう為す術がない様子だったのだから。
気付けばポタリと涙の粒が震える手の甲に弾けた。
その一滴を見て、泣いてることを悟られたくないばかりに、それとなく拭うも、やはり体は言うことを聞かない、いや、心に従順過ぎる。
涙はボロボロととめどなく溢れ出てきた。
拭えば拭うほど溢れ出てきた。
拭う必要もなくなった今、その泣き顔を晒して銀さんの顔を見上げると、さっきより大分緩んだ、呆れたような目で私を見ていた。
何度かこの表情は見てきた。
「ほんっと可愛くねぇなー、前にも言っただろ。可愛い女の子ってのは甘え上手なんだよ。」
この呆れたような表情をする銀さんは、決まって私に手を差し伸べる時だった。
また、この手を掴んでいいのかな。
何度払っても差し伸ばしてくる手。
温かくて大きな男の人の手。
「銀さん....私....」
「なんだ。」
嗚呼、ズルい人だ。
狙ったようなタイミングで、うんと甘くて優しい声で答える銀さん。
塞き止めていたどうしようもない感情が一気に溢れ出したのを感じた。
必死に耐えてきたものが無意味だったとしても、もうどうでもいい。
今まででの苦渋の思いを全て溶かされたような感覚だ。
三人の瞳を見つめ、今までの幸せな日々が蘇る。
そうだ、私は彼らと一緒にいたいと強く願っていたんだ。
「万事屋に帰りたいです...」
消え入りそうな声を漏らした。
「初めからそうやって素直でいりゃいいんだよ。」
腕を組みながら微笑む銀さん、後ろには同様に私を見つめる神楽ちゃんと新八くん。
ああ、この三人の元に帰るためなら、
私は何だって出来る。
そう強く感じた瞬間だった。
ここに来た目的だって、ただ安心させるためだった→←心情を正確に言葉で表すなんてハナから難しい話
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のと丸(プロフ) - ジャスタウェイさん» ジャ、ジャスタウェイさん...!初めまして!!お褒めのお言葉誠にありがとうございます!!更新頑張ります〜(●´▽`●) (2019年8月13日 20時) (レス) id: 73b1ba17eb (このIDを非表示/違反報告)
ジャスタウェイ - とても面白いです。ぜひ更新頑張ってください。 (2019年8月13日 19時) (レス) id: f6013c941d (このIDを非表示/違反報告)
のと丸(プロフ) - みぃさん» みぃさんこんにちは〜!!超特急で帰ってきてしまいましたね笑応援ありがとうございます!!(●´▽`●) (2019年8月9日 16時) (レス) id: 3187970ecf (このIDを非表示/違反報告)
みぃ(プロフ) - こんにちはです!帰って来るの待ってました。これからも頑張ってください! (2019年8月9日 16時) (レス) id: d77d134be6 (このIDを非表示/違反報告)
のと丸(プロフ) - シルバさん» コメントありがとうございます!!すごくすごく嬉しいです!!。゚(゚^ω^゚)゚。更新停止と宣っておきながら、結局更新再開することになってすみません(TT)節操なしの作者ですが、何卒宜しくお願いします!<(_ _*)> (2019年8月9日 12時) (レス) id: 3187970ecf (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:のと丸 | 作成日時:2019年7月28日 17時