異世界人と万事屋３【銀魂】

肝心な事は肝に銘じるより手の甲にでも書いとけ ページ19

〜銀時side〜


静まり返った居間に10時を指す時計が低い音を響かせる。


「早く来いよぱっつぁん....」

苦しさを紛らわすように呟いた。


この家に食料が無いことを知った俺達は、ババアに貰った経費の残金で新八にお使いに行かせた。



パシってないよ？じゃんけんしたからちゃんと。



つったってあの寂しい小銭じゃ食パンくらいしか買えねぇんだろうな、


だったら俺プリン食いてぇなぁ。




プリンから連想して色んな甘い物を思い浮かべていると、神楽がリモコンを手に取りテレビをつけた。


『続いてのニュースです。


ここ一年ほど天人の殺害を繰り返し、世間の不安を募らせていた『狐の虐殺鬼』が、今日午前10時に大江戸病院で逮捕されました。
現場の証拠と目撃者の証言から同一人であることが確定しましたが、犯人は未だ容疑を否認している模様です。また』


アナウンサーが続きを言う前に画面がプツリと消えた。


気まずい空気と共に沈黙が訪れ、それに耐えきれず俺は声を掛けた。


「そんな湿気た面すんじゃねーよ、」


向かいに座る神楽が顔を伏せたまま答える。

「A何にもしてないのに、今頃牢屋にいるアルヨ....このままあの女見つからなかったら....どうしよう....銀ちゃん....罪着せられたまま...」


珍しく本気で心配して狼狽える神楽に少し驚いた。

今にも泣きだしそうな顔をするから慌てて口を開く。


「おいおいまだ何も起こってねぇだろ、今夜くらいに女狐ちゃん来るって、だから、な？お前の自慢の武器肌身離さず持っとけよ。」


すると神楽は無理矢理な笑顔で明るく答えた。


「そうアルな！！Aの分までボッコボコに叩きのめすアルヨ銀ちゃん！！」


「おー、そうだそうだボッコボコに...


ボッコボコに...






ってダメだァ───────！！！」


突如叫びながら立ち上がった俺を見て神楽が目を点にする。


「なっ何でヨ銀ちゃん！！」


「あ、あいつしょうよっ、いや依頼人が探してる妹かもしれないって話してたじゃねぇか！！！」


電撃でも食らったように硬直する神楽。


「わ、忘れてたアル....そういやそうだったネ....ど、どどどどうしよ銀ちゃん定春ゥ────！！！」


勢いよく立上がると定春の毛並みに埋もれ、足をバタバタし始めた。



さてどうしたもんか、



松陽が探してる妹の可能性が拭えない限り、



下手に手を出せねぇ。




くぐもった神楽の喚き声を聞きながら、Aの顔を思い出し、そっと目を伏せた。

染み付いた色は簡単に拭えないどころか、滲んで広がってゆく→←人の蝿を追うより自分の頭の蝿を追え

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