異世界人と万事屋３【銀魂】

人の蝿を追うより自分の頭の蝿を追え ページ18

〜新八side〜


「あー、そうですね、それが妥当ですよ。ビラを貼って回りましょう。」

項垂れる銀さんの一番無難な案に賛成する。


「ほい、早速ビラの内容書いてみたアル。」

「「早っ！！」」

机に叩きつけられた紙を覗くと、そこには稚拙な字で

『屯所で火祭り開催 万事屋銀ちゃんこと坂田銀時と夜兎が来ます。あとメガネも』

と書かれてあった。


「どんだけ屯所放火したいんだよお前！！！つか何さり気なく俺の本名書いてるの？！個人情報漏洩してるよ？！！」

銀さんのツッコミで出遅れたものの、僕もむず痒さに口を開く。

「いやそれよりこの『あとメガネも』って何！！この後付け感何！！僕だけこんな扱い酷くない？！」

「新八のはこれくらいでいいんだよ！！それより俺の名前堂々と書くのやめろ！！」

「もーワガママうるさいネ、これコピーするアルヨー。」


「「させるかァァァァ！！！！」」



それから20分ほどそんな下らない悶着を続けると、力尽きて僕ら三人長椅子にもたれかかった。


そして結局僕が考えた小さい顔写真入りの万事屋宣伝キャッチコピーが採用された。


コピーの経費はどうにかすると言い張る銀さんだが、多分お登勢さんにでも借りるんだろう。


本当は人からお金を借りるなんてしたくないけど、今の所持金じゃどうにもならない。


今回はお登勢さんの力を借りよう。



自分を説得させ、その日の午後にコピー作業と町の掲示板にビラを貼る作業を終わらせた。



───────────────────.......



暗くなった夜道を歩いてきたため、頭上の電気がやたら眩しく見えた。

遠い所にまで貼りに行ったせいで疲労困憊した僕らは帰宅するなりすぐに倒れた。


「銀ちゃん、ちゃんと見てくれるカナあの女。」

定春にドッグフードを上げながらそんな不安な声を漏らす神楽ちゃん。

「さぁな、見てくれる事を仏様にでも結野アナにでも願うしかねぇだろ。
あーあと戦闘態勢入っとけよ神楽、いつ襲ってくるか分からんぞー。」


そう言いながらも鼻をほじってジャンプを読む体勢を微塵も変えない銀さん。


人に言う前にまず自分からしろってんだ。







ま、この人は腰の木刀さえあれば無敵か。


小さくため息を漏らすと重い腰を上げ、夜ご飯の支度をするため台所へ向かった。




そして冷蔵庫を開けた僕は再び居間に戻った。





「銀さん、今日の晩ご飯、何も無いです。」


そう言った途端、沈黙した二人のお腹が虚しく鳴った。

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