異世界人と万事屋３【銀魂】

振り出しに戻るのか一歩前進するのかはたまた停滞か ページ29

〜銀時side〜


女の言葉にすぐに察した神楽がショックを受けて立ち尽くす。


(神楽に似た夜兎族の男って、神威か。)


「何で逃げてんだよ。賊にちょっかいでも出したのか？危なっかしいやつだなー。」

声を掛けると俺の手を咄嗟に離した。


「このまま放っておいて...」

まるで恐怖に怯えるような声色で呟く。


「ど、どうします？銀さん。」

新八も神楽も内心狼狽えているようだ。


ふと、布から少しだけ覗くAと瓜二つの顔に、また時と場合もわきまえず心臓が飛び跳ねる。



何か、また、




思い出せそうな感覚





あの時思い浮かんだ少女の映像と重なる気がする






お前は、一体誰なんだ？







松下村塾にいたのか？







昔俺と会ったことあるのか？








松陽の探している妹なのか？







その刹那に思い浮かんだ様々な邪念に頭を振り、一言声を掛ける。


「放っておくかは質問の返答次第だ。お前は『狐の虐殺鬼』って呼ばれてる連続殺人犯なのか？」


「何それ...知らない....」

とだけ呟き首を振った。




あー放っておいて欲しいのに素直に答えるほうがおかしいよねー、



それか....本当に全く関係ない別人だったりして、




そしたら、Aと同じ顔したもう一人がいるってことなのか？


最悪のケースが思い浮かんで、新八も青ざめた顔でふるふると首を振った。


誘導尋問で真実を吐かせる事にした俺は初歩的な質問をする。


「お前、名前なんて言うんだ？とりあえずそれだけでも、」

「私は...」







「へぇ、皆勢揃いで何してるのさ。」


女の声を遮ったのは聞き覚えのある冷淡な声だった。



急に岩のように固まったAの偽物。


振り返ると、群衆を引連れた朱髪の男が番傘を差して立っていた。


感情のない笑みを貼り付けて。


「ねぇ、何でまたその女と関わってるの。もう知らないって言ってなかった？嘘だった？アレ。」


神楽に向かって言ってるみたいだが、笑顔であれその威圧は俺達にも伝わってくる。


どうやらお兄様を怒らせてしまったらしい。





「待って、つかお前バレてね？」

背後のAの偽物に聞こえるように囁くと、俺の服を地面に残したままその場を去って行った。

「おい！」


俺達は女を追おうとするが、歩み寄る神威の声で足が止まった。



「何であの女、追ってるの？」


目の前まで来た神威に俺も面と向かって返した。


「テメーこそ、何で追ってるんだよ。」


細やかな雨音だけが聞こえた。

嘘が嘘を呼び嘘まみれになると何が嘘なのかも分からなくなる→←あのですね、今天井からダンゴムシ降ってきたんですよ、怖くないですか

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