人間落ち着きが一番肝心だよっておばあちゃん言ってた ページ21
〜銀時side〜
「来ね───じゃねェかァァァァァァ!!!!」
溜まりに溜まった鬱憤が叫び声と共に発散した。
あれからもう四日も経った。
四日間ずっとビラ貼り頑張ったのに、
結局来ねぇ来る気配もねぇ。
「なぁ新八ー、本当にAの偽物なのか?女狐ちゃん。見当違いじゃねーの?」
頭を垂れて隣で魂抜けたような新八に訊ねた。
「今更そんなこと言っても、もう、遅いでしょ、銀さん....」
「....そだな。」
完全にヤル気を無くしていた俺達をよそに、神楽はさっきから何度もテレビのチャンネルをかえていた。
「神楽やめろ!!精神病患者みたいだぞ!!!」
リモコンを奪おうと起き上がると、神楽が瞬きもせずに凝視していた事に気づいた。
「か、神楽ちゃん?瞬きしないとドライアイになっちゃうよ?」
「銀ちゃん....これ......」
掠れた声で目を見開く神楽の目線を辿って俺達も画面を見る。
画面の右端には『連続殺人犯 死刑判決』というテロップが表示され、どこかのお偉いさんの記者会見の様子が映っていた。
『そして我々は天人連続殺人犯に死刑判決を下しました。慎重な上に慎重を重ねた検討の末、死刑執行を命令した次第です。執行日は明後日の予定です。最初の事件から──』
新八が手に持っていた空の湯呑みを落とした。
続いてリモコンを落とす神楽にふと目をやると、頬に涙が伝っていた。
「──んさん!」
「銀さん!!!」
揺さぶられていることも気づかず、新八の切羽詰まった大声ではっと我に返った。
「ど、どうしよう銀さん。Aさん、死刑だって.....」
「銀ちゃんっ!!!早くあのアマ見つけないと!!!」
ガキのように声を詰まらせて泣く二人が切実な目で見てくる。
(ガキのようにってか、こいつらガキか......)
普段なら窮地に立たされても泣かない二人の珍しい反応に俺も焦った。
でも今コイツらが頼れるのは俺しかいねぇんだ。
Aを助けられるのも俺しかいねぇ。
ったくほんとによ、大切なもん一度に背負い込むって難しいねぇ、
世の中の父ちゃん母ちゃん尊敬するわ、
「さっさと行くぞ。」
立ち上がる俺に二人が鼻を啜りながらどこに、と訊ねる。
「死刑判決下って一番動揺してんのは誰だ?」
「「あ....」」
察した二人はすぐさま涙を拭き、立ち上がった。
「上等だ。」
玄関から飛び出した俺達は、雨の降るぬかるんだ道を傘もささずに一直線に駆け抜けた。
優しい嘘というのは、気付いてしまえばただの嘘より痛く感じる→←染み付いた色は簡単に拭えないどころか、滲んで広がってゆく
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のと丸(プロフ) - ジャスタウェイさん» ジャ、ジャスタウェイさん...!初めまして!!お褒めのお言葉誠にありがとうございます!!更新頑張ります〜(●´▽`●) (2019年8月13日 20時) (レス) id: 73b1ba17eb (このIDを非表示/違反報告)
ジャスタウェイ - とても面白いです。ぜひ更新頑張ってください。 (2019年8月13日 19時) (レス) id: f6013c941d (このIDを非表示/違反報告)
のと丸(プロフ) - みぃさん» みぃさんこんにちは〜!!超特急で帰ってきてしまいましたね笑応援ありがとうございます!!(●´▽`●) (2019年8月9日 16時) (レス) id: 3187970ecf (このIDを非表示/違反報告)
みぃ(プロフ) - こんにちはです!帰って来るの待ってました。これからも頑張ってください! (2019年8月9日 16時) (レス) id: d77d134be6 (このIDを非表示/違反報告)
のと丸(プロフ) - シルバさん» コメントありがとうございます!!すごくすごく嬉しいです!!。゚(゚^ω^゚)゚。更新停止と宣っておきながら、結局更新再開することになってすみません(TT)節操なしの作者ですが、何卒宜しくお願いします!<(_ _*)> (2019年8月9日 12時) (レス) id: 3187970ecf (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:のと丸 | 作成日時:2019年7月28日 17時