裏路地も恋路も入り組んでて分かりゃしない ページ26
妙さんのお下がりの着物を着ている私は、とりあえず、と帯に髪留めを付けておいた。
頭につけるのはまだ少し恥ずかしかった。
(銀さんが選んでくれた髪留め....例え適当でも、普通に私の好みだし、全然問題ない)
どうしようもなく釣り上がる口角はどうにも抑えようがなかった。
好きだから選んでもらえて嬉しいとか、もちろんそんな理由じゃない。
単純に銀さんに選んでもらった事が、珍しくて嬉しかったからだ。
そう何度も自分に言い聞かせて、締まりのない顔で人捜しを再開することになった。
すると、ふと、後ろの方から声をかけられた。
「ね、ねぇちょっとAさん?あの、帯緩んできてますけど?」
銀さんの少し焦ったような声。
気づけば本当に腰あたりが緩いのを感じて、慌てて直そうと試行錯誤するが、
いじればいじるほど悪化していく。
「おい、こんな道のど真ん中でするんじゃねぇ!こっち来い!」
混乱する私は銀さんに手を引っ張られ、人気のない路地裏に連れられた。
「すみません、着物着るの慣れてなくて...」
うろ覚えで着物を着たせいで、粗が出てしまったようだ。
「洋服ばっかり着てたってのか?変わってんな。」
背を向けたまま話し掛ける彼の言葉に、私はうっかりしていた事に気付く。
江戸時代というのはもちろん着物しかなかったのだから、まだ主流じゃない洋服に慣れた生活を送る人間は、やはりここでは少し浮くらしい。
「ちゃんと直せたか?」
「はい、なんとか...」
突貫工事で形だけ元に戻したように着なおした。
「俺は女物の着方は覚えてねぇからな、もうすぐかぶき町だし、辛抱しろよ。」
そう言って振り返って私の姿を確認すると、再び表路地へ向かって歩き始めた。
入り組んだ路地のせいで、いつの間にか違うルートを歩いていた銀さん。
すると、彼の足が止まり、何事かと前を覗いたら、
「おいテメーら、ここに何の用だ。ガキ共がうろついていい場所じゃねぇぞ。」
ゴロツキのような男3人ほどたむろっているコースに出てしまったようだ。
「ああ、すみません、さっさと出て行くんで、そこ通してもらえます?」
あくまでも穏便に済ませようと優しく頼む銀さん。
でもどうやらゴロツキの方はそんな優しい頼み事も受け入れられないほど心が狭いらしい。
唸り声を上げながら3人同時に銀さんに襲いかかった。
木刀を腰から引き抜く彼を見た瞬間、後ろから襲ってきた何かに私は体の自由を奪われた。
蜘蛛の巣に引っかかると本当に厄介だよね→←可愛くない乙女という生き物は存在しない
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のと丸(プロフ) - 餅みそさん» ありがとうございます!!更新頑張ります(●´▽`●) (2019年7月30日 12時) (レス) id: 3187970ecf (このIDを非表示/違反報告)
餅みそ - こういう話し好きです!続き楽しみにしてます。更新頑張ってください (2019年7月29日 19時) (レス) id: bfc2e3a90c (このIDを非表示/違反報告)
のと丸(プロフ) - MIRAIさん» コメントありがとうございます!!読者様にワクワクできるよう話を練っているので、そう言っていただけて本当に嬉しいです!!(´>ω<`)これからまたどんどんストーリーが展開していくので、どうぞ最後まで楽しんでって下さい!! (2019年7月26日 5時) (レス) id: 3187970ecf (このIDを非表示/違反報告)
MIRAI - 先がわからなくってドキドキしながら読んでます!とっても面白いです。頑張ってください!! (2019年7月26日 3時) (レス) id: c6a480e818 (このIDを非表示/違反報告)
のと丸(プロフ) - 金持ちのボンボンになりたいさん» コメントありがとうございます!!ミステリー!そう言って下さるとは思いませんでした!(*^^*)これからもどうぞ楽しんでいって下さい!! (2019年7月25日 14時) (レス) id: 3187970ecf (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:のと丸 | 作成日時:2019年7月18日 20時