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頭から抜けた記憶はもう一度収まることができる ページ20

〜銀時side〜


敷地を出ようとした途端、


「おい、どうしたんだ?」


立ち止まるAに合わせて俺も立ち止まって訊ねた。

「銀さん、あの花。」


「花?」


敷地の出入口の境目に、青紫色の小さい花々が束になって添えられていた。


「まるでお供えのような花ですね、」

そう言いながら地面に置かれた青い花に歩み寄るA。


「おい、んなもん見てる暇ねぇぞ。」

面倒に思って新八達との合流を急かすが、まるで無意味。


「銀さんこの花、竜胆ですよ!」


花が咲いたような笑顔を見せる。



「りん....どう.....?」

無意識に復唱する。


「はい!確か、花言葉は...悲しむ貴方が好き。」




その言葉をAが呟いたその時、




脳裏に微かな情景が浮かんだ。





重なるような、ぼやけるような、




何かを思い出せそう、と思うと、




いつの間にかもう何と重ねようとしていたのか忘れてしまった。




そしてその花の名前、竜胆。





(りんどう....りんどう....りんどう.....)




脳内で発音を何度も繰り返す。



「あっ」



思い出したぞ!!




この青い花、よく松陽が花瓶に飾ってた花だ!!!




それだよそれ!!



あ〜スッキリした、




知ってる気がしたわけだぜ



「どうしたんです、そんなニヤニヤして、変なの。」


訝しそうに俺を見るAの声で我に返って、口を押さえた。



「え、俺そんな変な顔してたの?マジ?」


「ふふふ、いえいえ、冗談ですよ。」


そう言って花を見るために前屈みになっていた体勢を戻して、歩き始めるA。


「テメェ、」


やたら嬉しそうに、軽い足取りで小生意気な従業員が俺の前を歩く。



歩きながら、ふと俺は後ろを振り返った。




だんだん小さくなっていく青。




何故廃屋の前に花を添えるんだ。




ふと、思った。



あの花は、もしかしたら、





松下村塾に供えた花なのかもしれないと。






何故そう思ったのか分からない、





それはもう直感に等しかった。




でも一度そう思ってしまうと、そうとしか思えなくなって、




そして、何かを思い出したような感覚も、






偶然なら別に構わねぇ。




でも、



偶然じゃないとしたら、一体なんだ?




俺を呼ぶ新八達の方へ一歩ずつ歩み寄る。





このままこうなのか、



ずっと釈然としないまま



限りなく不透明に近い布に目隠しされた気分で、




(あー気分悪ぃな....何なんだよ)




俺は不必要に頭をかいた。

大人になるということは、与える側になるということ→←口から出た言葉はもう二度とその口には戻らない



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のと丸(プロフ) - 餅みそさん» ありがとうございます!!更新頑張ります(●´▽`●) (2019年7月30日 12時) (レス) id: 3187970ecf (このIDを非表示/違反報告)
餅みそ - こういう話し好きです!続き楽しみにしてます。更新頑張ってください (2019年7月29日 19時) (レス) id: bfc2e3a90c (このIDを非表示/違反報告)
のと丸(プロフ) - MIRAIさん» コメントありがとうございます!!読者様にワクワクできるよう話を練っているので、そう言っていただけて本当に嬉しいです!!(´>ω<`)これからまたどんどんストーリーが展開していくので、どうぞ最後まで楽しんでって下さい!! (2019年7月26日 5時) (レス) id: 3187970ecf (このIDを非表示/違反報告)
MIRAI - 先がわからなくってドキドキしながら読んでます!とっても面白いです。頑張ってください!! (2019年7月26日 3時) (レス) id: c6a480e818 (このIDを非表示/違反報告)
のと丸(プロフ) - 金持ちのボンボンになりたいさん» コメントありがとうございます!!ミステリー!そう言って下さるとは思いませんでした!(*^^*)これからもどうぞ楽しんでいって下さい!! (2019年7月25日 14時) (レス) id: 3187970ecf (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:のと丸 | 作成日時:2019年7月18日 20時

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