異世界人と万事屋２【銀魂】

魂で動くヤツは金で動くヤツより印象に残りやすい ページ17

「冒頭の宛先書いたのはじーさんだって言ったよな。
じゃあ聞くけど、何で『万事屋銀ちゃん』じゃなくて万事屋の坂田銀時って名指しで書いたんだ？
俺ァどうもそれがしっくり来なくてよ。」

私も気になっていた事を銀さんが代弁して質問する。

すると秀策さんは、「それはなぁ、」と切り出して回想するように語り始めた。


「便利屋に届ける内容の手紙だったからよ、
直接便利屋に持って行ったんだが、
松下村塾ってのは、昔火事で全焼して今はねぇもんだから、
依頼人の情報に嘘があるんじゃ話にならねぇってどこも門前払いされてよ。

でも捨てられねぇから、手紙の扱いに困ってたんだよ。

そんな時、仕事の昼休憩で行った食事処で二人の親子と出会ったんだ。

そして、親切に相談に乗ってくれるって言うもんだから、
偶然拾った手紙は差出人不明なんだけど、どうにかしたいって言ったらよ、

二人とも声揃えて、江戸のかぶき町で万事屋やってる坂田銀時って男に頼んでみろって言われたんだ。

だから名指しでお前さんに送ったんだよ。」



「それって、もしかして....」と、呟いて新八くんと神楽ちゃんが顔を合わせる。


銀さんの懐かしそうな目を見て、きっとこの三人の知り合いなのだろう、と推測した。


「お頭ァ！！ちょっと来てもらって大丈夫ですかぁ！！」

しんみりした空気から引き戻すように、男の声と共に現場の喧騒が耳に戻ってきた。


「ちょっと待ってろよ！！....それで、この依頼書、確証ねぇが、引き受けてくれるか？」

少し切実な目で頼まれると、銀さんは、


余裕の顔で余裕の声で、「ウチはどんな依頼も引き受けるのが売りだからな」と答えた。






(神楽ちゃんも新八くんも、こんな銀さんだからついて行くんだね...)

私はただただ感慨深く思った。


「ところでじーさん、報酬は...」

「ああ、そうだったな！！見つけたら、いくらでもくれるらしいな！！せいぜい頑張れよ〜？若造が〜」

ニヤニヤと笑っては肩を叩いて、歩き始めた秀策さん。


「いや、あの違うんですよ、」

どうにも言葉が出てこない銀さん。

秀策さんの『依頼人の手紙を救えた』という安心を奪わないよう、
真実を口にしない銀さんに私はまた、愛おしさを感じた。


「あーあ、これで私達ババアに笑い者にされるアル。」


「うるせぇ！そういう事言うんじゃねぇ！！どうせ恥かくのは俺なんだぞ！！」


小声で叫ぶ銀さんの声は、無念にも神楽ちゃんに届く前に、現場の喧騒に掻き消された。

予感や直感って割と当たりそうで無下にできない→←良い奴に限って死亡フラグが立ちやすい

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