人は自分が犠牲になる時、それを誰かが知ってくれるだけで報われるものだ ページ35
お風呂から上がり、妙さんのお下がりの服を探ると、女性用の桃色の甚平を見つけた。
(お、これかな、寝巻きは。)
江戸時代と言っても、下着なんかは現代と同じ種類のもので、
これだから簡単に江戸時代だと思えなかったのか、と納得した。
どうやら天人襲来によって技術が目覚しく進化し、都市は瞬く間に発展したらしい。
玄関先から見えたあの巨大なビル付近は、江戸の中心部らしく将軍家もあるんだとか。
そこはまるで近未来なのだろう。
宇宙人が漫才をしていたり、乗用車が空中浮遊していたり、奇抜な服装の若者がカフェで談笑していたり、
私がいた世界よりももっと先を行ったような光景をテレビで見た。
それに比べ、ここ、かぶき町と呼ばれる町はさほど進化していない様子だ。
見た限りでは人間しかいないし、服装はみんな和服、ちょんまげしている人だって沢山見た。
やはり天人が来たのが最近と言うだけあって、まだ日本全体が都市化しているわけではないようだ。
それにみんなも便利だからと言って、直ぐに馴染めるってわけではなかったのだろう。
そんなことを考えながら着替え終わると、旅行とかで見る未使用の使い捨て歯ブラシを見つけ、そのまま歯磨きを済ませた。
「神楽ちゃん、上がったよー。」
「おうヨ!」
返事をすると、神楽ちゃんは私に代わって脱衣所に入っていった。
居間に向かうと机の上はもう片付いており、長椅子で横になってジャンプを読む銀さんがいる。
台所から皿洗いを済ませた新八くんが私の後ろから追い越すように居間に入り、銀さんに声を掛けた。
「それじゃ銀さん、僕もう帰りますよ。」
銀さんは、そうかーと適当な返事をしながらページをめくった。
「あの、私、こっちで寝て良いんですか?」
唐突に私はいちご牛乳の掛け軸がかけられた部屋の襖を指でさしながら問うた。
「はぁー?」
急な質問に聞き返す彼。
この部屋は元々彼の寝室に違いない。
しかし私がここに来たことによって、今は私が寝室として使ってしまっている。
それはいい。
問題はこの部屋以外に寝られる部屋がない事だ。
さもなくば私と銀さんが同じ部屋で寝るハメになる。
年が離れているとは言え、十八の娘と三十路近い男が寝床を共にするのはあまりよろしくない。
「もう俺がここで寝るしかねーだろ。」
若干妥協したような声で、足でトントンと長椅子を指す仕草をする銀さん。
だけどそれは私が快諾できなかった。
一方的な感情というものはいつも切ない→←それが例え事実だとしても、それを相手が嫌がるなら言ってはいけない
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のと丸(プロフ) - 雪華さん» わー!鋼錬の小説で、コメントして下さった方ですよね!ありがとうございます!(´∀`*)続編というか、新作ですが;; (2019年7月15日 9時) (レス) id: 3187970ecf (このIDを非表示/違反報告)
雪華 - 続編おめでとうございます! (2019年7月15日 8時) (レス) id: 1286db9797 (このIDを非表示/違反報告)
のと丸(プロフ) - みぃさん» 初めまして!コメントありがとうございます!!ご感想とても嬉しく、励みになります!。°(°´∀`°)°。銀魂の小説は初めてなので至らないところがあるかもしれませんが、今後とも楽しんで下さい(´▽`*) (2019年7月13日 16時) (レス) id: 3187970ecf (このIDを非表示/違反報告)
みぃ(プロフ) - 初めましてです!とても面白いです!この作品が大好きです。更新頑張ってください! (2019年7月13日 16時) (レス) id: d77d134be6 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:のと丸 | 作成日時:2019年7月10日 22時