わざとらしい演出 ページ32
▽side 坂田銀時▽
「・・・痛ってェ!」
心地の良い眠りは、思い切り頬をつねられたことで終わりを迎えた。
「いつまで寝てんの!起きて!」
焦ったような声をあげながら服装を整えていくAを見て、そういえばついに一線を越えたんだったかと今更ながらの満足感。
時計を見れば、意外にもコトを終えてから1時間も経過していない。
「いつまで寝てんのって・・・。まだ1時間も経ってねェじゃん・・・。」
「そういうことじゃなくて!神楽ちゃんと新八くんが帰ってきたらどうすんの!」
「んだよ、さっきまでそんなこと気にもしてなかったくせに。お前だってノリノリだったじゃねェか。」
「・・・・・・黙れクソ天パ」
反論までに間が空いたあたり、どうやらあながち間違いでもないらしい。
「そんな焦らなくても新八なら今頃は道場でマカデミアンナッツ配ってるし、神楽もそれに食い付いてる。」
「道場でマカデミアンナッツってどういう状況・・・?」
また変わったことを、とでも思っているのか、Aが呆れたように首を傾げる。
その手に触れようとしたとき、彼女の手が着物の合わせを掴んだままなことに気付いた。
俺の視線を感じ取ったAが口を開く。
「・・・腰紐とか帯とか向こうだから」
「あぁ、なるほどな」
あのとき、流れのままにソファーでAの肌を暴いていったものの、さすがに経験のない彼女に無理な体勢を強いてしまうのは申し訳なくて。
途中で寝室へと移ったため、恐らくここにない小物は全てソファーの周りに散らばったままだろう。
「取ってくる」
そう言って立ち上がったAの後に続いて俺も寝室を出ると、何故かAはソファーの横で立ち尽くしている。
「どうした?」
「いや、別に・・・」
何やら様子がおかしいと思って覗き込むと、Aの顔はほんのりと赤みを帯びていた。
改めてソファーの周りを見れば、探していたのであろう腰紐や帯に加えて散乱している伊達締めやら足袋やらの小物。
それが妙に生々しく思えて、どうやらAは照れているらしいと察した。
「・・・ソファーとかベッドの周りに服が散乱してるみたいなやつ、てっきりわざとらしい演出かと思ってたが、実際そうなると結構イイもんだな」
「何が・・・ッ!バカじゃないの!」
予想通り酷く動揺するAに吹き出しそうになるのを堪える。
しばらくはこの焦りっぷりを思い出して笑えそうだなと、俺はひそかに楽しみを得たのだった。
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ξεグリムэЭ(プロフ) - えだまめンヌ。さん» ありがとうございます!ログイン情報を忘れて長らく更新できなかったアホなのですが(笑)引き続き頑張ります! (2020年9月2日 2時) (レス) id: 69bdc7b84c (このIDを非表示/違反報告)
えだまめンヌ。 - しっかり掴まれていて、リアル銀魂!って感じが凄いなと思いました笑ええぇ…未だに驚かされています笑銀さんの生き様だとか、そういうものも盛り込まれていて一気に引き込まれました。この作品大好きです!!応援しています!! (2020年6月18日 16時) (レス) id: 510c711c3f (このIDを非表示/違反報告)
えだまめンヌ。 - 昨日の夜この作品を見つけ、次の日が学校という事も構わず一気読みしてしまいました笑めっっちゃ面白い!!こんな事があったら、きっとキャラはこういう事を言うんだろうな、するんだろうなという部分を→ (2020年6月18日 15時) (レス) id: 510c711c3f (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:ξεグリムэЗ | 作成日時:2019年3月22日 6時