選択ミス ページ25
・・・ほら、思った通りだった。
銀時の鋭い視線を感じ続けて、私の感想といえばその一言に尽きる。
あれだけ分かりやすいフラグだったのだから、避ける手立てならいくらでもあったはずなのに。
服部全蔵と名乗った例の失礼男に付いて歩いていたところを、後ろから捕まってしまった。
さらにその失礼男といえば、面倒事は御免とばかりにいつの間にか姿を消していたのだからやはりいけ好かない男である。
「で?何があったって?」
心配してくれているのだろうとは分かりつつ、それでも話したくない気持ちが勝る。
「・・・そっちこそ、なんでこんなところにいるの」
「教えてやるよ。お前が先に話したらな。」
最初から期待はしていなかったけれど、案の定話を逸らすことは難しそうだ。
「まぁまぁ銀さん。少し落ち着きな。」
銀時の今の様子とは対照的に、名前の通り太陽のような笑顔をした女性が1人。
服部さんから聞いてはいたけれど、彼女が吉原で尊敬の念を集める理由が分かる気がした。
「・・・気付いたら捕まってた」
ほとんど子どものように不貞腐れて言った一言。
大事な部分を省略しすぎているが、決して嘘じゃない。私は悪くない。
「いつ」
「え、っと」
短く聞かれた問いに、回答を見失った。
だって銀時と別れた直後に気を失ったのだと知られたら、きっとこの人は少なからず自分の責を感じてしまう。マンションの入口までじゃなく部屋の入口まで送れば良かっただとか、そんな小さなことを実は気にするタチだ。
それに、これ以上迷惑をかけるのは嫌だ。
「いつだって聞いてんだけど」
「・・・覚えてない」
さっきと違って、これは嘘だ。
銀時が責任を感じてしまうかもしれないだなんて、ただの口実なんじゃないか。
私は恐れているのだと思う。
私も銀時を護りたいなんて大層なことを言ったくせに、現実はこうだ。
呆れられることが、重荷になってしまうことが、私自身を【選択ミス】だと思われることを、恐れている。
「はぁ・・・」
吐き出されたそのため息には、どんな意味があるんだろう。
「・・・なぁ、ちょっとコイツ吉原で預かってくれるか?」
「預かるって、」
「1日だけ。頼むわ。」
そう言ってこの茶屋の主から返答も聞かずに立ち上がる。
・・・やっぱり呆れられたかなぁ。
遠くなるその背中に、私は苦く笑うことしかできなかった。
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ξεグリムэЭ(プロフ) - えだまめンヌ。さん» ありがとうございます!ログイン情報を忘れて長らく更新できなかったアホなのですが(笑)引き続き頑張ります! (2020年9月2日 2時) (レス) id: 69bdc7b84c (このIDを非表示/違反報告)
えだまめンヌ。 - しっかり掴まれていて、リアル銀魂!って感じが凄いなと思いました笑ええぇ…未だに驚かされています笑銀さんの生き様だとか、そういうものも盛り込まれていて一気に引き込まれました。この作品大好きです!!応援しています!! (2020年6月18日 16時) (レス) id: 510c711c3f (このIDを非表示/違反報告)
えだまめンヌ。 - 昨日の夜この作品を見つけ、次の日が学校という事も構わず一気読みしてしまいました笑めっっちゃ面白い!!こんな事があったら、きっとキャラはこういう事を言うんだろうな、するんだろうなという部分を→ (2020年6月18日 15時) (レス) id: 510c711c3f (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:ξεグリムэЗ | 作成日時:2019年3月22日 6時