降参 ページ12
「これ使え」
「・・・ありがと」
万事屋に泊まることになった。うん、分かる。
万事屋でシャワーを借りた。うん、分かる。
寝巻きとして銀時の服を借りた。・・・まぁ、分かる。
銀時の部屋で布団を渡された。・・・・・・え?なんで?
これまでの数分間を冷静に思い返す。
深夜に1人で帰宅しようとして連れ戻された手前、シャワーも寝巻きも大人しく言われるがままに借りた。
とはいえ、私の自宅に銀時が泊まったあの日から引き続き、同じ空間で眠るなんてのは変に意識してしまうこと必定。
「・・・私、ソファーで寝ようか?」
「このやり取りまたすんの?お前の家でもしたってのに。良いだろ、ここに2つ布団敷けば。」
「えぇ・・・」
「銀さんは客をソファーで寝かすような無礼はしませーん。それから俺がソファーで寝るなんてのもお断りだから。お前が折れりゃ全部解決。」
「・・・なるほど」
「あ、あともう1つ。」
自分の布団の用意を終えて、銀時がこちらに向き直る。
「分かっちゃいるけどよ・・・その・・・あんまり避けられるとキツい、っつーか・・・」
気まずそうに、最後の方はかなり小さな声。
避ける。それはつまり、私が彼と寝室を共にすることを避けているということ。
私の家でも、今も。
「・・・別に銀時に触れられるのが嫌だとか、そういうのは無いから誤解しないで。ただ・・・私が苦しい、というか・・・」
伝わるかどうかギリギリの声量で喉を震わせているのは、私も同じだ。
「苦しい?」
「好きな人と一緒に寝るんだよ!?緊張するに決まってんじゃん!」
「声が大きい」
「あっ・・・」
慌てて口に手を当てるも、ヤケクソ気味に放った言葉は既に部屋の外まで漏れ聞こえただろう。
願わくば、神楽ちゃんが気付きませんように・・・。
「・・・だからその・・・つまり・・・銀時に対してどうこうってことではなく・・・私の問題、です・・・。」
「生憎、俺ァお前の気持ちを汲み取って尊重してやるほど紳士じゃねェ」
「えっ・・・ちょ、この前と言ってることが違う・・・!」
寝ぼけながらも聞いた銀時の言葉、私はちゃんと覚えている。
寝ぼけているせいで「しないのか」なんてバカみたいな直球を投げた私に対して、彼は「俺は紳士だ」と、確かにそう言った。
「今日の銀さんはこの前とは違うんだよ。分かったら大人しくこの部屋に布団を敷け。そしてさっさと寝ろ。」
「・・・分かった」
広げた布団は、【降参】の色。
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ξεグリムэЭ(プロフ) - えだまめンヌ。さん» ありがとうございます!ログイン情報を忘れて長らく更新できなかったアホなのですが(笑)引き続き頑張ります! (2020年9月2日 2時) (レス) id: 69bdc7b84c (このIDを非表示/違反報告)
えだまめンヌ。 - しっかり掴まれていて、リアル銀魂!って感じが凄いなと思いました笑ええぇ…未だに驚かされています笑銀さんの生き様だとか、そういうものも盛り込まれていて一気に引き込まれました。この作品大好きです!!応援しています!! (2020年6月18日 16時) (レス) id: 510c711c3f (このIDを非表示/違反報告)
えだまめンヌ。 - 昨日の夜この作品を見つけ、次の日が学校という事も構わず一気読みしてしまいました笑めっっちゃ面白い!!こんな事があったら、きっとキャラはこういう事を言うんだろうな、するんだろうなという部分を→ (2020年6月18日 15時) (レス) id: 510c711c3f (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:ξεグリムэЗ | 作成日時:2019年3月22日 6時