ピンポイント ページ16
「それは聞いた。で、何時間待てば帰れるの?」
アパートを見たところ、『破壊』というほどボロボロになっているわけではない。
刀で傷をつけてしまった程度の話だろうに、何故そんなに深刻な顔をされなければならないのか。
「・・・いや、他の住人は問題ねェんだ。部屋も無事だし、説明も済んだ。最後の1人がお前だったんだが・・・まぁ見てもらった方が早い。」
十四郎の先導で部屋への角を曲がる。
「えっ・・・」
外観では全く問題なさそうなアパート──と思ったのはそこまでだった。
私の部屋だけが切り取られて、別世界に放り込まれたような。
そこだけがピンポイントに、見るも無惨な状態と化していた。
「・・・どういうことよ」
「見た通りだ。バズーカでピンポイント。他の住人は間もなく部屋に戻れるが、お前の部屋は使えねェよ。」
反省が全く見えない茶髪を見据えて数秒。
「十四郎、この茶髪死刑だよね?」
「残念ながら違ェよ」
「じゃあ万事屋。コイツ殺せ。」
「命令!?」
ついさっきまでは封筒の中身をいつ拝めるのかと期待に胸躍らせていたのに、家をどうするかという大問題に直面してしまった。
・・・いやいや。確かに出勤前、近いうちにもっと良い所に引っ越してやるなんて言ったけれども。
その日のうちに家を失うだなんて想定外。
「お前、謝罪とかないの?」
「さっきまでとは随分印象が違ェや。そんなに睨み付けちまって、物騒ですねィ。」
なにコイツ、凄いムカつく。
多分、万事屋以上。
「それより土方さん。さっきから親しげに話してやすが、知り合いで?」
「あー・・・妹・・・?腹違いだけどな。」
「なんで疑問系なの。納得するまで説明したじゃん。・・・どーも、土方Aです。これからお前を殺すんでヨロシク。」
「土方さんソックリじゃねェですかィ。沖田総悟でさァ、この度はご迷惑をお掛けしちまって。」
・・・絶対思ってない。ていうか微妙に半笑いなのは何?そんなに殺されたいのかな。
相当に殺気を出していたらしい私を諌めて、十四郎が口を開く。
「しばらくはホテル泊まれ。金は出してやる。」
「当たり前でしょ、むしろ家買えよ。賠償しろよ腐れ警察。」
目の前に広がる、私の心休まる場所だった残骸。
いつもは礼儀正しく、を心がけている私だが、さすがに真っ黒な本性を隠す気力が残っていないのだ。
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ξεグリムэЭ(プロフ) - 白桜姫さん» コメントありがとうございます!ただいま編集作業行なっておりますので、公開まで今しばらくお待ちくださいませm(_ _)m (2018年11月12日 3時) (レス) id: 0498653311 (このIDを非表示/違反報告)
白桜姫 - 続き見たいです (2018年11月9日 1時) (レス) id: 6519ad1531 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:ξεグリムэЗ | 作成日時:2018年5月15日 5時