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吉と出るか凶と出るか ページ33

「何これ」

「囮だもの。それなりにターゲットが釣れる餌に仕立てるのは当然よ。」


猿飛さんに渡された資料の通り、見た目を変化させる──つまり、着せ替え人形と化してから早数十分。
普段は着ないミニ丈の着物に着替え、渡された派手な髪飾りを付けて。仕上げに濃い化粧、キツめの香水をワンプッシュ。

・・・私は何をさせられているのだろう。

襖を隔てた向こう側からは、自室を占領された万事屋の不満げな声が聞こえてくる。


「おい、まだやってんの?長くね?」


いつもなら万事屋の呼び掛けを無視したりはしないのだろう猿飛さんも、今は私の目の前で真剣な顔をしているのだから、やはり本職にかける思いは強いらしい。


「さて、済んだなら行きましょう。」


襖を開け放とうとした猿飛さんの手が、空を掴む。


「何やってるんですか、大丈夫ですか?」


代わりに私が襖を開けたのだが、このとき気付いていれば良かった。
彼女がメガネをかけていないことに──。


「おぉ、やっぱりA美人ネ!」

「全然印象違いますね」


少し前に出勤してきた神楽ちゃんと新八くんに見つめられ、なんだか居心地が悪い。
・・・恥ずかしいから勘弁してくれ。


「馬子にも衣装、ってやつか」

「貶してる?貶してますよね?」

「じゃあ骨折り損のくたびれ儲けで」

「悪化してますけど!?誰の着飾りが無駄って!?」


バイトする前から、この疲れるやり取り。
万事屋とのやり取りこそ『骨折り損のくたびれ儲け』じゃないのだろうか。


「銀ちゃん、少しぐらい素直になれヨ。」

「そうですよ。普通に綺麗の一言が言えないんですか?」


ここまで年下に詰められる大人も珍しい。
この一瞬だけで、万事屋がいかに駄目な大人かよく分かる。


「しょうがないじゃない、銀さんはいつもこの私を見てるのよ?他の女がゴミに見えて当然だわ。」

「おいコイツが1番酷ェよ、誰もゴミまで言ってねェけど」

「万事屋。死刑。」

「なんで俺ェェェェ!?」


なんでってそりゃ、なんかムカついたからだ。
万事屋と真選組のあの茶髪は、死刑までとはいかなくとも断固有罪である。


「安心しろヨ。余った臓器はちゃんと売って金にするアル。」

「安心できねェよ!?死んでんだろーが!」


ここに来るまで持ち合わせていた緊張感はいつの間にか消え去っていた。
それが吉と出るか凶と出るかは、今はまだ知らなくても良いか、なんて。

不覚にもこの空間でリラックスしてしまったのは、ここだけの話。

歪んだメガネ→←始末屋改めストーカー



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ξεグリムэЭ(プロフ) - 白桜姫さん» コメントありがとうございます!ただいま編集作業行なっておりますので、公開まで今しばらくお待ちくださいませm(_ _)m (2018年11月12日 3時) (レス) id: 0498653311 (このIDを非表示/違反報告)
白桜姫 - 続き見たいです (2018年11月9日 1時) (レス) id: 6519ad1531 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:ξεグリムэЗ | 作成日時:2018年5月15日 5時

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