家族 ページ12
『お前がお父さんとお母さんを…ッ!敵、取らせていただく。やぁぁぁぁぁぁ!』
「だから、話を最後まで聞けって。」
トン。と片手で動きを止られてしまった。
が、私も負けてられない。頭を押さえている手を掴み、勢いで脚をやつの顔に絡めさせ捻る。と言う技を繰り出した。案の定、彼は倒れた。
まま動かない。『し、死んでないよね?』
「こんな技で俺が死ぬわけないだろう?にしても君、強いネ。してやられたヨ。俺は神威。」
なんだこいつ、化け物ですか?
そう言えば父に『名乗ることは大事なことだ。』と言われていたっけ?名乗りたくもないが、武士らしく。
『私はA。』
「A!ねぇ、春雨に来てヨ!」
『は、春雨?』
話が急すぎてついていけない。
『私はお父さんやお母さんを殺した奴の所になんか行きたくない。』
「ダヨネ…。でも、さっきから言おうとしてたんだケド、殺したのは僕じゃない。」
『あんた以外に誰が居るのよ。』
「強賊さ。」
『……!』
巷で噂されていた。悪質な強盗犯がいると。何でも、人の家に忍び込み、金目のものだけを盗むにもあきたらず、主を殺して家の壁を真っ赤に染め上げて行くらしい。
家に帰ったとき、私が見たのは血塗られた壁、家族だった。
手口が一緒。と言うことは……。
あまりの現実に私は腰の力が抜けて力なく床にへたりこんでしまった。
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作者名:りん x他1人 | 作成日時:2018年6月22日 17時