【銀魂】無表情な俺と正反対な周囲逹【男主】

第２９魂 ページ29

『……チュー』


何事も無く、ストローを紙パックに突き差してAはジュースをユックリと堪能する。


──神威の腕の中で


「「………………」」


Aの適応力の早さに神威と阿伏兎の動きが停止した。Aといえば、口からストローを離して、パッケージを眺めている。


『……意外に酸っぱい』


「そりゃ、百パーセントのオレンジだからな。嫌いだったか？」


『別に普通だ』


云業と呑気に話していた。
何となく、気が合いそうな二人である。


「ちょっと、Aッ！ 俺達、Aの事で言い合ってるんだよ！？」


神威がハッとした様子で、Aをヌイグルミのように抱きしめた。

今度は、隙間の余裕さえ与えないぐらいに。


『知った事か。大体、俺は神威の獲物じゃない。いい加減に離せ……』


「いーやーだー！」


『…………………………』


──ググッ


その時、Aは無言で離せと言わんばかりに、力強く神威の両肩を押した。

が、ビクともしない。


「A、無駄だよ！ 俺、こう見えても力強いからーっ！」


ニコニコしながら、神威がエッヘンと胸を張る。Aはそれと同時にハアと小さな溜め息を付いた。


『…………あと、数分したら
離してもらうぞ』


「！、いいの！？」


キラキラと神威の目が輝く。こうしていれば、只の美青年なのだが……


「やったーっ♪」


──ムギュウゥゥゥゥッ！


『痛ッ……！？』


抱く力が強すぎて、Aの背骨がミシミシと音を立てる。が、神威は全くその様子に気づいてない。


「Aって、抱き心地が良いよね！ 抱き枕にしたら気持ちよさそうだヨ！」


『……ああ、よく言われる』


主に晋助辺りでと心の中で呟いた。


それから、数分どころか。数十分ぐらいまで神威に抱擁されていた。

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