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第六十九幕 ページ23

あれから何分、いや何時間経ったのだろう。

彼らは牛鬼に会いに行こうと山を登り(ソラが)歩いていたが屋敷に辿り着く気配はない。
景色が変わって、山脈が見える開放感はなく、いよいよ深い森の奥まで来てしまった。

さすがのソラにも体力の限界が近づき、後ろでのんびりと自分の背に座る娘をジロリと見る。

「おい。一向に辿り着かんのだが?」


「だって知らないもん。」


…落ち着け、きっといつもの冗談に決まっている。
自分は揶揄われているのだとソラは自身に言い聞かせ、平静を保とうとする。

「時間の無駄だ。
さっさとその牛鬼とやらのところまで案内をしろ。」

「だから私も知らないんだってば。
ここに着いてから探すつもりだったんっ!」

仏の顔も三度まで。
そのようなことわざがあるが、ソラには仏もクソもない。
彼女が言い終える前に身体を傾け、彼女を薙ぎ払うように吹っ飛ばす。

空中に浮いたその軽い身は勢い良く地面に叩きつかれた。

顔面から。

「イッタイ!なんてことをするの!?
乙女の顔を傷モノにするなんて!?」

「知るか馬鹿者!!
なんの下調べもせず敵の巣窟に侵入しているも同然ではないか!
奴良組の傘下とはいえ、本家以外の妖怪は儂らの顔を知らない者もいる。
万が一、襲われたらどうするつもりだ!」


「そんなことを言われたって…牛鬼の性格を考えれば自分の居場所を易々語るとは思えない。

知っているとすれば総大将あたりだと思うけど…私が総大将に近づくと烏天狗は煩いし、リクオにも話が伝わる可能性がある。
これ以上の心配はかけたくなかったの。」

彼女は痛々しい顔つきで、付着した泥を払う。
旧鼠の一件で奴良組には不穏な空気が流れている。
これ以上、自分が騒ぎだすわけにはいかなかったのだ。

「私だって、こう見えて反省してるんだよ?
…無謀なのは分かっているけど、妖怪の世界では他力本願で生きていくしかない。
敵の襲撃が来てもソラがいれば大丈夫でしょ。」

彼女の一生を共にする相棒だからこその信頼の言葉だった。
それが、伝わったのかソラの怒りは冷めてプイッと顔を背ける。


「フン。儂は強い、当然だ。
他の者にお前を指一本触れさせはしない。
ここで血を流すこともないだろう。」

「既に傷ができてるんだけど。
うわ、鼻血も出てる。」

「儂はいいんだ。
お前を傷つけるのも生死を問うのもな。」

「私、束縛系DV彼氏はお断りだよ。」

「儂もお前のような問題児は御免だ。」

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桃子(プロフ) - めっちゃ面白くて好きです!!忙しいと思いますが更新頑張ってください! (2021年5月15日 22時) (レス) id: f758fcdb57 (このIDを非表示/違反報告)
氷麗 - とっても面白いです!色々忙がしいと思いますが、更新頑張って下さい!p(^-^)q (2020年8月6日 10時) (レス) id: 0b4aa008b9 (このIDを非表示/違反報告)
レモンティー(プロフ) - みいらさん» コメントありがとうございます!とても励みになります( ;∀;)ノロマ更新ですが気長にお待ちいただければ幸いです。今日の夜に更新しますね! (2020年6月23日 12時) (レス) id: a8c312a3ba (このIDを非表示/違反報告)
みいら(プロフ) - とっっても面白いです!更新頑張って下さい!! (2020年6月23日 10時) (レス) id: 8b1d0909e8 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:レモンティー | 作成日時:2020年5月28日 19時

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