【銀魂】女隊士と愉快な仲間達７２

３４０５話 ページ38

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例年よりもひと足早くに満開となった桜すら、藍色の空と相まって圧迫感を咲かせていた。全てが幻想のようにくるりくるりと見え方が変化し、ひたすらに気分が悪い。
赤を見ると吐き気が腹の底から煮え立ってきて、身体が震える。それを紛らわそうと胸を手でトントンと叩き、物理的に何かを削ぎ落として落ち着かせようとするけれど、そんなの何の効果も持たないのだ。

どこか冷静な自分が、今の自分を客観視してきたりして。嗚呼、何かが可笑しい。私は可笑しい。



桃太郎「着きましたよ姉貴」



誰も何も言ってこないのは何故だろう、と感じている自分も居た。指摘されないのなら、いつもと変わらないのなら、今の私は何なのだ。

もしかしたら、生きているのさえ嘘なのか。
心臓は、動いていないのか。
動いているのは、夢なのか。
この世界は、どこなのか。
私は今、どこで何をしているのか。



桃太郎「副長、今回姉貴はやっぱり･･････」



とある小さな宿は、ただの小さな宿である。
そこで何が行われていようと、宿は宿。評価するのは宿ではなく客で、客がいるからこそ、宿が成り立つ。なら、宿を決めるのは客である。

だが、名乗るのは宿である。
宿が宿と名乗れば、それは何であろうと宿なのだ。

それと同じだ。人間はそれと同じなんだ。



"「･･････お、おれ」"



彼を死と断定したのは人だ。
人が人を殺して、人が人に護られた。
人が人を人だと断定したくせに。



「ばかみたい」



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