3228話 ページ43
.
殺さなければいけない人間も、世の中には存在する。
ふわふわとする意識の中で、辿り着いた答えはそれだった。自分の今の行動を認める為だけの、身勝手な答えだ。ただ、それが誰なのかは全く以て分からない。
私は今、何をしているのか。
どうして、刀を振っているのか。
どうして、目の前に上司が居るのか。
頭に響き渡る仲山の声だけが心の中を掻き乱し、やがて力に変わり果てる。
「殺せ!!全ての元凶であるソイツを殺せ!!ソイツのせいで君の仲間が死んだんだ!これからだってそうだ!!」
嗚呼、そうだ。そうだった。
この上司が変な躊躇をしてやがったから、仲間が死んでいったんだ。近藤さんも、タコ男も、目を覚まさないんだ。
・・・・・・いや、違う。土方さんは悪くない。私だって土方さんと同じで、変な躊躇をしていた。私も同罪だ。
嗚呼、この上司さえ居なければ、こんな事にはならなかった。こんな奴、こんな奴、上司なんかじゃない。
・・・・・・それも違う。土方さんは悪くない。私が、私のせいだ。私が何もしなかったから。私が動けなかったから。
「殺す、ころす?殺さないころさない、殺さない・・・殺す、殺す殺す、殺す殺す殺す・・・さない?」
自分が分からない。何よりも自分が分からない。
この心が、感情が、自分のモノかさえ分からない。
自分の中に、全く違う人間が存在しているようだ。
私は誰なのだろうか。彼女は誰なのだろうか。
彼女は私なのだろうか。私は彼女なのだろうか。
土方「聞けA!!テメェはテメェだ!!そんなヤツなんかに身体乗っ取られてんじゃねェ!!」
頭の中でこだました、最後の言葉はそれだった。
・・・・・・そうだ、私は私だ。彼女は私じゃない。
違う、私はお前だ。私は彼女じゃない。
思うように動かない身体にしがみついていた私は、その手を手放した瞬間、実質上"私"が死ぬ事に気が付いていた。
「ころすよね?」
だというのに、強引に放された手。
ずるずると距離が空く。どろどろと、血が流れる。
放してしまった筈の手には、生暖かい鮮血に塗れていた。
土方「・・・・・・っ!!」
「・・・・・・な、んで」
途端に誰も居なくなった、私の身体。
途端に力が抜けて立てなくなった、私の身体。
目の前には、この場に居る筈の無いタコ男が口から血を吐いて立っていた。
.
151人がお気に入り
この作品を見ている人にオススメ
「銀魂」関連の作品
感想を書こう!(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
堕天使(プロフ) - 今回のシリアスは、話が話なだけに皆様の反応が心配で心配で、コメントを見るたびに励まされて頑張ろうってなって、なのに更新しないでコメ返もしないで放置して…反省します。これからもハラハラドキドキさせられるように、頑張ります!!!!よろしくお願いします!! (2018年3月19日 14時) (レス) id: 725743dc16 (このIDを非表示/違反報告)
堕天使(プロフ) - 要約するとひたすらありがとうでいっぱいです。ありがとうございます。コメントが来る度にちらちら見てました(何故返さない)リクエスト、了解致しました、それこそ遅くなりそうですが気長にお待ちください…(頭抱え) (2018年3月19日 14時) (レス) id: 725743dc16 (このIDを非表示/違反報告)
堕天使(プロフ) - 皆様、たくさんのコメントありがとうございます!そして、返信するのが遅すぎて一括でやるはめになってしまって申し訳ございません。一人一人返したいのは山々なのですが、連続で操作すると占ツク自体が重くなりそうなので今回は気持ちだけお家に訪問してるつもりで… (2018年3月19日 14時) (レス) id: 725743dc16 (このIDを非表示/違反報告)
千鳥(プロフ) - 文字数ギリギリの長文失礼しました。 (2018年3月6日 17時) (レス) id: 042eec4381 (このIDを非表示/違反報告)
千鳥(プロフ) - タコおおお!!!名前がない隊士が死ぬのとは訳が違う!死なないでえ!またタコ男も含めた真選組のギャグが見たかったァ!これだけ長い小説だからこそ読者である私達もオリキャラへの愛が生まれて、死んだ時の悲しさが増すんだろうなって思ったよ。続編楽しみにしてる! (2018年3月6日 17時) (レス) id: 042eec4381 (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名:堕天使 | 作成日時:2018年2月10日 17時