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(沖田side)
初夏。
俺の所属するクラス__三年Z組に、転校生がやってきた。
「坂田Aです! 担任と名字が被ってるので、気軽に名前で呼んでください!」
よろしくお願いします、と頭を下げる転校生。頭を上げソイツの顔が見えた瞬間、俺は固まった。
何故ならば、
__坂田Aが、小学生のときに去っていった俺の初恋の相手だったからである。
*
坂田A__俺の家の隣に住んでいた、同い年の女子。社交的でバカ真面目。そのくせホントは打たれ弱くて寂しがりや。
ソイツが俺の幼馴染だった。
Aの両親は共働きだったから、姉上が代わりに面倒を見たり、俺が一緒に遊んでやったりもした。
隣の家のチャイムを鳴らせば、必ず幼馴染がいる。そんな関係が永遠に続くと、俺もAも信じ切っていた。
だが、小学生のときに事件は起きる。
「ごめんね、総悟。私、引っ越すんだ」
公園で二人で遊んでいる最中、突然Aにそう告げられた。
数秒間フリーズした後、「……いつ?」と聞くと。
「ん? 明日。三連休だから時間もあるしちょうどいいでしょ、ってママが」
すっかり総悟に伝えるの忘れてた、と笑うA。
「……んな随分急な」
「あー……ごめん、引っ越しが決まったのは一か月前なの。本当に言い忘れてただけで」
急になっちゃってごめんね、と謝られる。
俺が口を開いたとき__それが別れの言葉なのか責める言葉なのか今となっては分からないが__まるで仕組まれたように、午後四時を告げる音楽が流れた。
「あれ、もうこんな時間? やっば、帰んないと怒られる……!!」
「またいつか会おうね!」と言い残し、風のように去っていったA。俺はそれをただ茫然と見送るしかなく、その場に立ち尽くした。
「切ない初恋の人との別れ」__それだけの思い出として懐かしむことができれば良かったものの、どうやら俺は自分の予想以上に重い男だったようで。
ズルズルとその恋を高校三年生まで引っ張ってきてしまったワケである、のだが。
『坂田Aです』
見た目が変わり(美少女になった)、声も変わり(花澤〇菜みたいになった)、トドメは幼馴染の俺のことを憶えている様子が無い。ドSのガラスのハートはヒビだらけだ。
早くも天敵・チャイナと仲良くしているAを盗み見、思わず俺は天を仰ぎ考えた。
初恋の人に、二度目の恋をする。
―――いっそのこと、二度目の初恋にしてしまおう。
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みーなな(プロフ) - 魁 奏さん» コメントありがとうございます! リメイク前から見ていてくださっていたとは感激です……! これからもこの作品をよろしくお願いします! (2019年1月29日 19時) (レス) id: 5e50030e02 (このIDを非表示/違反報告)
魁 奏 - 初コメです!リメイクお疲れ様です。リメイク前から見ていましたが更におもしろくなっていますね。更新頑張ってください。応援してます。 (2019年1月29日 15時) (レス) id: dcbda7607c (このIDを非表示/違反報告)
みーなな(プロフ) - ペロペロキャンディさん» ありがとうございます!現在作品のリメイク中ですので暫く更新はお休みなのですが、これからも精進してまいりますのでよろしくお願いします! (2019年1月9日 6時) (レス) id: 5e50030e02 (このIDを非表示/違反報告)
ペロペロキャンディ - 最近見たので一番面白いです!更新がんばってください♪ (2019年1月9日 0時) (レス) id: d47604c399 (このIDを非表示/違反報告)
みーなな(プロフ) - ayanekoさん» いつも読んで下さっているとは……!ありがとうございます!班のメンバー、了解しました! (2018年11月29日 16時) (レス) id: 5e50030e02 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:みーなな | 作成日時:2018年10月28日 18時