トリプルフェイスは忙しいらしい

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沖矢「着きましたよ」


あの後アパートまでの間、沖矢さんと料理の話になって沖矢さんの煮込み料理への謎の熱意を感じた。


A「ありがとうございました！初対面なのに良くして頂いて...今度お礼させて下さい」


沖矢「いえいえ、お礼なんて。そうですね...今度作り過ぎてしまったら食べに来てくれませんか？一人では食べ切れないし、お隣にお裾分けしようにも手厳しい審査員がいるもので」


A「それ、お礼になります...？」


沖矢「えぇ」


玄関先まで一緒に荷物を持ってくれた沖矢さんをそのまま帰すのも失礼だと思い、上がっていかないか聞いたけど遠慮されてしまった。


汚くはないぞ？


A「本当に帰っちゃうんですか？少し休んでいきませんか？」


沖矢「また今度お邪魔しますね。それにそこまで引き留められると...別れを惜しむ恋人のようで忍びないですね」


A「...へ？(何言ってんだコイツ)」


真面目な顔で冗談みたいな事言うから本気で言ってんのかと思うだろうが。笑え、冗談言うなら笑え。


沖矢「これ、僕の連絡先ですので」


A「あ、はい。俺も...これ」


沖矢さんに倣って紙に書いた連絡先を渡すとスバルに乗って走り去っていくのを見送った。


それをある人物に見られていてこの後その人物から問い質されることになる。


ーーーーー
安室「それで？A君が僕の横に引っ越してきたというのは分かりましたがあの"赤い"スバルの彼は誰なんですか？」


A「えっと...あの人はこの雨の中、態々家まで送ってくれた親切な人で...」


沖矢さんと入れ替わるようにして駐車場に入って来た白のRX-7からこれまた見た事のあるイケメン、安室さんが背後に般若を伴って降りて来た。それにしても安室さんの笑顔が怖い。目笑ってねぇよ。笑えよ、顔全体で。目以外器用に笑わなくていいからさ。


安室「ほぉー...」


A「あの、安室さん...？...怒ってます？」


安室「はぁ...怒ってないよ」


安室さんの顔色を窺いながら聞くと一度溜め息を吐き、少し困った表情で頭を撫でられた。


安室「でも、今度から気を付けるんだよ？A君は男の子だけど最近は危ない大人もいるんだから知らない初対面の相手に簡単に着いて行かないこと」


いつの間にか敬語も無くなり、本当に心配している表情で見てくる安室さんに非常に申し訳なかった。


A「ごめんなさい...以後気を付けます(あの兄達より、お兄ちゃんみたいだな...)」

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