検索窓
今日:25 hit、昨日:21 hit、合計:103,116 hit

08 ページ8

.








「私は、失敗作なんです」








.









気付いたときには、もうひとりぼっちだった。







周りに同じくらいの歳の子も、若者もいた。

外の話をしてくれる人もいた。






それでもみんな、次々に消えていってしまった。







大人は言った。

「お前は選ばれし人だ」と。






私は悟った。

きっとみんなは、死んでしまったのだと。









私達は定期的に薬品を投与されていた。

その事に私が疑問を抱くことはなくて。

ただそれが当然かのように、受け入れていた。







薬品の投与は胸が苦しくなって、熱が出るから嫌いだった。ご飯も食べられないほど辛かった。

だから皆、乗り越えられなかった。

苦しみながら、静かに消えていってしまった。

私ただ一人がその苦しみを乗り越えるたび、大人は喜んだ。









" 適合者だ "と。









それが何年続いたかは覚えていない。

けれどある日、私の生活は一変した。









「っぅあ……」









普段とは違う部屋に連れてこられ、私は背後から突然刀で斬りつけられた。燃えるように痛くて、涙が出た。


初めて感じた血が流れる感覚を、今でもはっきりと思い出せる。









「……どうだ?」

「…まだ、何とも。」

「…ま、初回だからな」









なんでもないような顔をして私を見る目は、酷く冷たい。

あまりの痛みと恐ろしさに、吐き気が止まらなかった。









「おい、お前は選ばれし人なんだ。そんな情けない顔をするなよ、喜べ。まだまだこれからだ」









あぁ、これは何だと、私は初めて自分の存在に、この生活に、違和感を感じた。

声にならない声を上げながら、絶望したのを覚えている。









一体私は、何なんだと。









.

09→←07



目次へ作品を作る感想を書く
他の作品を探す

おもしろ度を投票
( ← 頑張って!面白い!→ )

点数: 9.8/10 (46 票)

この小説をお気に入り追加 (しおり) 登録すれば後で更新された順に見れます
153人がお気に入り
設定タグ:銀魂 , 坂田銀時 , 万事屋   
作品ジャンル:アニメ
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告

感想を書こう!(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)

ニックネーム: 感想:  ログイン

作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ

作者名:日向 | 作成日時:2020年10月10日 23時

パスワード: (注) 他の人が作った物への荒らし行為は犯罪です。
発覚した場合、即刻通報します。