第2話 ページ6
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「あれごめんね、眼鏡くんだっけ」
「いやもう新八の名残もなにも残ってないよ?!まださっきの方がましだったよ?!」
「まあ細かいことは気にしない気にしない。ここで会ったのも何かの縁だ。ゆっくりしていってよ」
「あ、すみません。ありがとうござ…って、ここ僕の家!!なんでさも当たり前のように家主面してるの、この人!!ていうか、全然話し聞いてくれないんですけど、貴方一体何者なんですか!」
息も絶え絶えにとりあえずは思いの丈をすべて吐き出すと不思議と先程の緊張感はどこかへ消えていった。不思議な感覚だ。
この女の子は誰かに似てる。
「漸く落ち着いたようだね」
「一体誰のせいだと…」
「今日は"妙ちゃん"にうちの好物を御馳走になるために来たのさ」
「え?姉上のご友人だったんですか?」
となると、"すまいる"の従業員か。
そんな話しは姉からなにも聞いていないわけだが。おそらく友人なのだろう。
そんなことよりも今気に掛けるべき問題は他にあった。
「好物って、貴方、姉上の料理スキルを知った上で言ってるんですか?悪いことはいわないから、今なら間に合います。今すぐ帰ったほうが」
どうにか鬼のいぬ間に忠告をしてみるも、こてんと首を傾げたきり動く様子がない。
このままではこの人が"
「だから、その非情に言いにくいんですけど!!」
「新ちゃん?」
だがそれも手遅れのようだ。
鬼の御帰還である。皿に盛られたものにそっと視線を向けるもそれはいつものあれ。
「帰ってきていたのならひとことくらい」
「あ、すみません。姉上…それであのこの人は一体…」
と、当人に視線をむけるもどうしたことか。
皿に置かれたそれをみて、瞳を輝かせているではないか。
どうにもこの人は只者ではないということはその一瞬で判断がつく。
あの
「
「え、
もきゅもきゅと先程から幸せそうにあれを頬張る彼女を前に苦笑いしかこぼれない。
これは預かり知らぬ間に、珍獣と珍獣が運命的な出会いを果たしてしまったとしか言いようがないではないか。
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