【銀魂】子育てパパ【其の弐】 (ページ17)

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第67話「坂田銀時生誕祭」ページ17

今日は１０月１０日
この日は俺にとって一生普通の日にはならない特別な日
なんだが
仕事が忙しくてそれどころじゃなかった
この歳になって「特別」なんて言うのは少し恥ずかしい気もするが

土方「銀時、この資料まとめといてくれ」

銀時「はいよー」

十四郎はさっさと仕事を俺に押し付けて帰っちまう始末
何なんだ一体
十四郎のおかげで残業になり
月が照らす夜道を一人、ゆっくり歩いていた

銀時「あ」

空を見上げれば綺麗な星空
そこで俺は思い出した

銀時「今日俺誕生日だった」

時計を見ればもうすぐ２２時
こんな時間ケーキ屋なんて開いてるわけねーよな
今更祝うのもアレだし
誕生日なんて気にせず真っ直ぐ家に帰った

銀時「たでーま…」

玄関を開ければ部屋は真っ暗
十四郎の奴、珍しく早く寝たか
なんて思いつつリビングの戸を開く
するといきなり電気が付き、何かが破裂する音と煙くさいにおいが広がった

銀時「な…」

リビングには十四郎を始め子供達、下のババアにたまにキャサリンにやた、保育所時代に世話になったゴリラにジミー、そしてママ友共皆勢揃いしていた

銀時「何やってんだ…オメーら」

俺は唖然と部屋中を見渡した
派手に飾られた部屋
「銀さんおめでとう」なんて書かれている看板
でっけぇケーキ

銀時「………」

A『かーちゃん！たん生日おめでと！』

沖田「おめでとう」

土方「おめでとうさん」

銀時「おぉ…あり…」

「おめでとう」だってさ
何年ぶりだよ
ガキの頃は親に誕生日を祝われた記憶なんてない
少ししたら先生に拾われて二人だけの誕生日会をやった
それだけで嬉しかった
でも先生が居なくなってまた一人
誕生日のめでたい感覚もなくなって今まで過ごしてきた
だからだろうか
お礼の一つも言えねーくらいに胸が苦しいのは

銀時「ありが…」

礼を言おうとすると涙まで出そうになる

お登勢「なァに男が誕生日に泣いてんだい、女々しい奴だねェ」

銀時「な…泣いてねぇよ！」

お登勢「そんな所で突っ立ってないでさっさとスーツ脱いできな、今日は日付が変わるまで飲むよ」

ババアの一言で皆が酒を注ぎだした
俺は部屋に戻ってスーツを脱ぐ
頬が自然と緩む

銀時「ぶははっ」

初めて味わうこの感覚が、慣れないけど心地いい

今まで生きてきて良かった