検索窓
今日:12 hit、昨日:32 hit、合計:951,805 hit

No.32「っ、貴方がそんなだから、あの子も征十郎も壊れるんだ!」 ページ42

.









「…いつから、こうなってしまったのか」



口から零れ出た言葉は、


“僕”のものなのか、“俺”のものなのか





もうそれさえ分からない








小さい頃から、Aはいつも悲しそうだった


もう、Aの笑顔なんて思い出せない









「征十郎様、夕食の準備が整いました」

「ああ、今行く」





屋敷に仕える人間は、自分の事を何か高価な宝石のように扱う









「さあ、頂こうか」

「父さん、帰っていたのですか」

「仕事が一段落してね」





父のいる夕食は、正直言って大嫌いだった



手の震えを抑えるのに必死で、味なんてこれっぽっちも分からない








「…(あ、ニンジン)」



Aが昔から嫌いなもの。泣きながら食べていた幼いAが懐かしい





「どうした征十郎」

「…人参は、Aが苦手でしたね」



「…知ったことか。あいつの話題なんぞどうでもいい」





「父さん、Aがああなってしまったのは僕が原因です」


「何を言っているんだ、自分の不出来さを恨みお前に八つ当たりしているだけだ」








「…父さん、いい加減、Aを見てはくれませんか」





父に歯向かうなど怖くてできなかった

堂々と牙を向けるAが羨ましかった








「征十郎、お前自分が何を言ってるのか分かってるのか?」



「分かっています。Aは僕の双子の妹です。貴方の娘です。…僕達の、家族です」




父の鋭い目が、自分を捉える








「…お前も、あいつに毒されたのか?

いいか征十郎、あいつは落ちこぼれなんだ。お前とはまるで違うんだよ、お前までこの家の名に泥を塗りたいのか!?」







怒れる父に冷や汗が滴る







…これくらいで怯むわけにはいかない




僕は、Aも、その兄の赤司征十郎も、守らなくてはいけない









.









「っ、貴方がそんなだから、あの子も征十郎も壊れるんだ!」






A、征十郎




君たちを守るためなら



“僕”なんて消えたっていいんだ





.

No.33「……父さん、お願いです。あの2人を、もう自由にさせて下さい」→←No.31「私は“あんた”を、絶対に許さないから」



目次へ作品を作る感想を書く
他の作品を探す

おもしろ度を投票
( ← 頑張って!面白い!→ )

点数: 9.9/10 (1757 票)

この小説をお気に入り追加 (しおり) 登録すれば後で更新された順に見れます
2809人がお気に入り
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告

感想を書こう!(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)

ニックネーム: 感想:  ログイン

Minami - ありがとうございます。神作です。語彙力失いました。 (2020年9月6日 19時) (レス) id: fff859bb45 (このIDを非表示/違反報告)
通りすがりに - もし私の間違えなら申し訳ありませんが、キセキの世代がいる学校ということは中学生のはずなのですが、作中では現在高校生のように描かれているのは何故でしょうか? (2019年4月2日 12時) (レス) id: b3d68cf6a0 (このIDを非表示/違反報告)
つき - 笑いあり涙ありってほんとコレ。過去1最高の作品だわ (2018年10月19日 22時) (レス) id: 7f1a7cb095 (このIDを非表示/違反報告)
レオ - 赤司のシスコン発言に対してのキセキのツッコミが面白いww (2018年4月2日 20時) (レス) id: ee52622bf1 (このIDを非表示/違反報告)
抹茶パフェ - 今まで見てきた黒バス作品でも上位に入る!ってか一位だわこれ!見てて飽きなかった!Good job 作者!! (2017年10月1日 5時) (レス) id: b2e6687e3f (このIDを非表示/違反報告)

作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ

作者名:壬生狼 | 作成日時:2014年9月22日 21時

パスワード: (注) 他の人が作った物への荒らし行為は犯罪です。
発覚した場合、即刻通報します。