No.32「っ、貴方がそんなだから、あの子も征十郎も壊れるんだ!」 ページ42
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「…いつから、こうなってしまったのか」
口から零れ出た言葉は、
“僕”のものなのか、“俺”のものなのか
もうそれさえ分からない
小さい頃から、Aはいつも悲しそうだった
もう、Aの笑顔なんて思い出せない
「征十郎様、夕食の準備が整いました」
「ああ、今行く」
屋敷に仕える人間は、自分の事を何か高価な宝石のように扱う
「さあ、頂こうか」
「父さん、帰っていたのですか」
「仕事が一段落してね」
父のいる夕食は、正直言って大嫌いだった
手の震えを抑えるのに必死で、味なんてこれっぽっちも分からない
「…(あ、ニンジン)」
Aが昔から嫌いなもの。泣きながら食べていた幼いAが懐かしい
「どうした征十郎」
「…人参は、Aが苦手でしたね」
「…知ったことか。あいつの話題なんぞどうでもいい」
「父さん、Aがああなってしまったのは僕が原因です」
「何を言っているんだ、自分の不出来さを恨みお前に八つ当たりしているだけだ」
「…父さん、いい加減、Aを見てはくれませんか」
父に歯向かうなど怖くてできなかった
堂々と牙を向けるAが羨ましかった
「征十郎、お前自分が何を言ってるのか分かってるのか?」
「分かっています。Aは僕の双子の妹です。貴方の娘です。…僕達の、家族です」
父の鋭い目が、自分を捉える
「…お前も、あいつに毒されたのか?
いいか征十郎、あいつは落ちこぼれなんだ。お前とはまるで違うんだよ、お前までこの家の名に泥を塗りたいのか!?」
怒れる父に冷や汗が滴る
…これくらいで怯むわけにはいかない
僕は、Aも、その兄の赤司征十郎も、守らなくてはいけない
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「っ、貴方がそんなだから、あの子も征十郎も壊れるんだ!」
A、征十郎
君たちを守るためなら
“僕”なんて消えたっていいんだ
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No.33「……父さん、お願いです。あの2人を、もう自由にさせて下さい」→←No.31「私は“あんた”を、絶対に許さないから」
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Minami - ありがとうございます。神作です。語彙力失いました。 (2020年9月6日 19時) (レス) id: fff859bb45 (このIDを非表示/違反報告)
通りすがりに - もし私の間違えなら申し訳ありませんが、キセキの世代がいる学校ということは中学生のはずなのですが、作中では現在高校生のように描かれているのは何故でしょうか? (2019年4月2日 12時) (レス) id: b3d68cf6a0 (このIDを非表示/違反報告)
つき - 笑いあり涙ありってほんとコレ。過去1最高の作品だわ (2018年10月19日 22時) (レス) id: 7f1a7cb095 (このIDを非表示/違反報告)
レオ - 赤司のシスコン発言に対してのキセキのツッコミが面白いww (2018年4月2日 20時) (レス) id: ee52622bf1 (このIDを非表示/違反報告)
抹茶パフェ - 今まで見てきた黒バス作品でも上位に入る!ってか一位だわこれ!見てて飽きなかった!Good job 作者!! (2017年10月1日 5時) (レス) id: b2e6687e3f (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:壬生狼 | 作成日時:2014年9月22日 21時