二十話 誘いと罠 ページ22
夕方頃園田村からの帰り道に同行する。何故か学園長と話さないといけないらしい。此処で仕留めれば情報と金が手に入る。
仕留められる時にしておくのが効率が良いが…怪しまれている以上、教師が万全の対策をしてくるだろう。
学園に帰った頃はもう暗く、星がよく見えていた。
「…それで、話とはなんでしょうか」
二足歩行の犬に茶を出され、学園長と一対一。
「旅をしていると聞いたが、金に困ってはいないか？」
「いずれ底を尽きます。ですが困ってはいません」
床下に二人。
「学園内で働いてみないか？勿論給料は出そう。もしくは編入するか、よければ考えてみて欲しい。半助が言っておった、身体能力が高いのだろう？お主は随分と若く見える。歳は幾つじゃ」
「歳は十四です。編入だなんて…私が忍者の卵になんて、なれませんよ」
部屋の外にに四人。
「とても若い。旅の途中だろうが、生徒達とも仲良くなっているだろう、皆受け入れてくれる」
「そうですね…、学園長が仰るなら、一度考えさせてください」
天井裏に一人。
完全に罠に嵌めようとしているが、Aは常に先を読んでいた。
学園に身を潜める隙を作り、任務が出来ると油断したところで捕えるつもりか…。これまた容易く作られた罠だ。
暗殺はさっさと終わらせる。警備が弱くなったと見えたら実行だ。相手側も此処まで早くするとは思うまい。
三日過ごす空き部屋を与えられ、寝静まった深夜に道具を整理した。
苦無を磨き、毒を染み込ませた布で拭く。体に隠す苦無は短く鋭利だ。全てで35本、足袋の隠し刃も整え、明日は上級生、教師の監視を解かなければならない。
朝になり朝食を取ろうと一年に誘われ味がしない飯を食う。
行く途中で暗殺経路も確認出来ただけ上出来だ。
「旅人さんの名前ってなんて言うんですか？」
「ああ…まだ言ってなかったね。私は…」
食堂には上級生もちらほら居たが、抑制の意味を込めて冷たく言った。
「…Aって言うの」
瞬時に食事をしている五、六年生の顔が強張り、食べる手を止める。
それを知らない一年は呑気に話し笑っているが私への警戒は確実になった。
食べ終えて一人になり、授業前の静かな校庭の隅を歩いた。
忍び殺しの人間は男、私の村を焼いた同一犯、そしていずれ学園に来る。
「(来て殺した後に、任務をしても良いかもしれない…)」
復讐を遂げた後に残るのは強さだけ。
生き延びるには、忍者として稼げるこの強さが必要なんだ。
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あまね(プロフ) - すきー！ (12月10日 11時) (
レス) @page34 id: 2b125e9969 (このIDを非表示/違反報告)
ルシア(プロフ) - 久しぶりの更新お疲れ様様です！！ (9月19日 21時) (レス) @page32 id: 75dd258af5 (このIDを非表示/違反報告)
みょーが - 主人公が毒にだけ味覚が働いたり、興奮で身体能力が上がったりするところ、とてもしっかり作り込まれているのを感じます！銀鬼さんの小説は場面展開がわかりやすくて物語の世界に没頭できます。これからも更新楽しみにしておりますね。 (2023年4月10日 22時) (レス) @page25 id: c021c07d07 (このIDを非表示/違反報告)
おろししょうが - 刺殺と視察掛けてるの天才 (2023年4月10日 19時) (レス) id: 1e91c7e46b (このIDを非表示/違反報告)
らぱ(新)(プロフ) - 作品、読ませていただきました。時間の流れ方だとか誰がどんな動きをしているのかだとか、それぞれが繊細に伝わってきてしっかり理解することが出来て、本当に凄いと思います！キャラをおさらいしてまた来ます！続編楽しみにしています！ (2022年1月5日 20時) (レス) @page14 id: c719b83a52 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：銀鬼 x他1人 | 作者ホームページ：http://uranai.nosv.org/u.php/hp/ginki/
作成日時：2020年9月21日 15時
